クモが巣をゴージャスにする理由

Science NOW より。今回はクモの巣についての話題です。
■ 芸術的なクモの巣を解きほぐす
Untangling an Artistic Spider Web
まずはこちらの写真をご覧ください(クモが苦手な人は注意)。これはナガマルコガネグモと呼ばれる種類のクモです。学名は Argiope aemula、日本でも南西諸島に生息しています。
さてこのクモ、とてもユニークな形の巣を作ることで知られています。ふだん僕たちがよくみるクモの巣といえば、中央から放射状に引かれた糸に、同心円状に細かく糸が張られたものです。ですが、このクモはさらにここに加えて、4方向にジグザグ状の模様を織り込んでいるのです。写真を見ると分かりますが、クモ自身の体と一緒になって、あたかも大きな「X」の字が描かれているようで、なんだか不思議な模様です。
いったい何のために、このような風変わりな模様が描かれるのでしょうか? エサの虫を引き寄せるためという説、敵を防ぐためという説、鳥が巣に突っ込まない目印だという説など、いろいろな考えが出されていましたが、いずれの説も確たる証拠に欠けている状態でした。
さて今回発表された研究によると、この巣には、より多くのエサの虫を引き寄せる効果がある一方で、同時に捕食者をも引き寄せてしまうことが明らかになりました。つまり、命の危機と引きかえにたくさんのエサをゲットしているという、いわばハイリスクハイリターンの巣なのです。
この研究を行ったのは、台湾の東海大学の生物学者 Ren-Chung Cheng と I-Min Tso です。彼らは台湾の南投という地域で2ヶ月のあいだ生活し、さまざまなナガマルコガネグモの巣をビデオカメラで撮影しました。このナガマルコガネグモは、すべての個体が巣にジグザグ模様をつけるわけではありません。彼らは最終的に、模様のある巣56個と、模様のない巣59個を撮影し、そのデータを比較しました。
比較の結果は明らかでした。巣に引っかかった虫の数をくらべると、模様ありの巣の方が、模様なしの巣よりも平均で60%も多かったのです。しかし一方で、模様ありの巣は、敵にみつかるリスクも高くなっていました。撮影データの中には、ハチに襲われるシーンが計18回あったのですが、このうちの3分の2が、模様ありの巣に対してのものだったのです。巣への装飾が、餌と捕食者の両方ともの注意をひきつける結果になっているのだ、と研究者たちは述べています。
こうしたトレードオフは自然界ではよく見られます。たとえば求愛のため大声で鳴くカエルなどは、一方で敵のヘビに見つかるリスクを負っていると言えます。今回のナガマルコガネグモのケースは、動物のつくった構造物においても同様のトレードオフの存在が示された初のものと言えます。
・・・僕の直感では、目立つ巣を作ってしまったら、虫にすぐ気づかれちゃってダメなんじゃないかなあ、と想像していたわけですが、事実はそれと逆で、模様をつけた方がより虫をひきつけるんですね。おもしろいです。
ちなみに元記事でも触れられていますが、じゃあなぜ虫たちはXの模様に引きつけられるのか? という点は今もまだ完全には明らかになっていないようです。一説には、模様の対称性に引き寄せられているという説があるようです。・・・花と勘ちがいしているのかな?
【参考リンク】
・元論文:Signaling by decorating webs: luring prey or deterring predators?

なお、本研究の Baldwin さんは、このアイデアをもとにした 










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