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文法ひとつで人の評価は大きく変わる


 Science NOW より。

■ 政治家よ、自分の文法に注意しよう
 Politicians, Watch Your Grammar

 政治家をはじめ、他人からの印象が重要な人にとって注目すべき報告です。自分を語るとき、何を述べるかは当然ながら非常に重要ですが、今後は文法ひとつひとつまで細かくチェックする必要があるかもしれません。新たな心理学の研究によると、文法のような微妙な表現が変化するだけで、聞き手の評価は大きく変わることが示されました。

 米国カリフォルニア大学の Teenie Matlock とインディアナ大学の Caitlin Fausey は、選挙の候補者のメッセージにて、文法など小さな差異が、聞き手の印象にどのような影響を及ぼすかを調査しました。

 彼女らは188名の学生を集め、架空の政治家に関するとあるテキストを読んでもらいました。この政治家の不倫と汚職の問題に関するテキストです。被験者は半分に分けられ、それぞれ異なるテキストを読みました。一方のテキストは、「Last year, Mark was having an affair with his assistant and was taking hush money from a prominent constituent.(昨年、マークは秘書と性的関係を持ってきていたうえ、また有力な有権者から口止め料を受け取ってきていた)」、もう一方は、「Last year, Mark had an affair with his assistant and took hush money from a prominent constituent.(昨年、マークは秘書と性的関係を持ったうえ、有力な有権者から口止め料を受け取った)」というものでした。

 二つはよく似ていますが、動詞の使い方が異なります。前者では「was having」「was taking」という表現が使われています。これは未完了相と呼ばれ、行為が現在まで継続しているニュアンスを持ちます。一方、後者では「had」「took」が使われています。これは完了相と呼ばれ、行為が過去に限定的であったニュアンスを持ちます。

 文章の差は微妙でしたが、これを読んだ被験者の印象は大きく異なっていました。前者の文章を読んだ被験者は、4分の3が、この政治家が再選する見込みはないだろうと答えたのに対し、後者の文章を読んだ被験者は、半分のみが同様の回答をしました。また、わいろの金額が10万ドル以上だと予想したのは、前者では58%でしたが、後者では37%でした。この傾向は、内容を少し複雑にしたテキストで試したときも同様でした。

 未完了相には、悪い行為が過去から現在まで長く継続しているというイメージを含んでいます。それが選挙の見込みに影響したものと考えられます。

 一方、この現象は悪い行為のみに見られることも分かりました。ある政治家がガンの研究の支援を行っている(または行っていた)、というテキストを、上とは別の166名に読ませたところ、当選の見込みについて、両方のグループで回答の傾向に違いは見られませんでした。

 研究者らは、私たちは言語に対してきわめて敏感であると述べています。このことを自覚すれば、政治家からの情報の受け手として、よりよい立場を取ることができるだろうと述べています。

 なるほど。今も悪いことをしているというニュアンスに対してネガティブな評価をするというのは直感的には納得できる結果ですが、ここまでがらっと違いが出るのはたいへん面白いです。今回のように架空の人物が対象だと、被験者はテキストの情報だけにもとづいて判断することになるので、実在の人物について同様のことをした場合はこれより差異は小さくなるのでしょう。このあたりの違いはどう出るのかな。


【参考リンク】
・元論文:不明。Political Psychology 誌の10月号らしいですが。。

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