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情報理論が古代ピクト人の失われた言語を発見する


 New Scientist より。

■ 古代彫刻の数学が失われた言語を明らかにする
 Mathematics of ancient carvings reveals lost language

 「ピクト・ストーン」をご存じでしょうか。スコットランド北東部の丘の上などで見られる石碑です。大きさは数メートルほど。これまでに数百個ほどが発見されています。岩面にさまざまな文様が彫られている何とも奇妙な見た目の石碑です。写真はウィキペディアの記事(これ)などを参照して下さい。

 この石碑が作られたのは4~9世紀、スコットランドの先住民ピクト人の手によるものと考えられています。彼らの生活はまったくの謎に包まれています。文献はほとんど遺されていません。ピクト語を話し、どうやら体にたくさんの入れ墨をしていたらしいのですが、いったい何のためにピクト・ストーンを作成したのか、どんな文化や社会を構成していたのか、多くのことが未知のままです。

 さてこの石碑、その文様は、組み紐や螺旋、動物、武器、日用品など、非常に多岐に渡っています。それぞれが何らかの意味をもったシンボルのようにも見えます。同じシンボルが繰り返し現れることもあります。もしかするとこの文様は、単なる装飾ではなく、ピクト人の書き言葉(書記言語)なのではないか、と考古学者たちの間では考えられていました。

 しかしながらその検証は困難でした。シンボルの種類が少なく、また十分な長さのサンプル列が存在しないことが原因です。既存の研究では、情報理論でいう「エントロピー」を調べる方法が考案されていましたが、これは多量の入力データを必要とし、ピクト・ストーンに適用することは不可能でした。

 そこで英国エクセター大学の Rob Lee らが考案した方法は、既知の他言語と比較するというものでした。彼らは、2シンボルの組の繰り返し現れる頻度と、エントロピーとを2つのパラメータでピクト・ストーンを数値化しました。そしてこれを古代・現代の言語から得た400個のサンプルと比較した結果、ピクト・ストーンは単なるランダム列や装飾的なシンボル列とは異なり、書記言語としての特性を示すことが明らかになったとのことです。(詳細は元論文を参照して下さい。)

 では実際にピクト・ストーンでピクト人は何を語っていたのでしょうか? その点はなおも謎です。まずは、各シンボルがそれぞれ文字、単語、音節のどれなのかを判断する必要があります。そのために、シンボルと意味の完全な対応表を作成する必要があるだろうと研究者たちは述べています。

 なるほど・・・。理論のところは理解がほとんどついていけてませんが、言語の特性を定量的にきっちり数値化して評価しようというのは面白いと思いました。どの言語と特性が近いとかいったことも言えたりするのかな。

【参考リンク】
・元論文:Pictish symbols revealed as a written language through application of Shannon entropy
Lithos graphics::スコットランド、ピクト人の石碑・遺跡

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