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環境にやさしい物を買っても心はやさしくならない


 New Scientist より。

■ 暴かれた:グリーンな消費者の外聞の悪い秘密
 Exposed: green consumers' dirty little secrets

 環境にやさしいモノを買うと、私たちの心もやさしくなれる。・・・エコ製品の宣伝でありそうなフレーズですが、最新の心理学の実験結果によると、実際はその逆かもしれません。環境にやさしいモノを買うことによって、人の行動は、ウソをつくなど、よりモラルを欠くように変わることが明らかになりました。

 カナダのトロント大学の Nina Mazar と Chen-Bo Zhong は、オンラインショッピングを題材にこんな実験を行いました。

 研究者たちは、ボランティアの学生を集め、オンラインショッピングのサイトで25ドルの買い物をするよう指示しました。被験者は2つのグループに分けられていました。一方のグループは、蛍光球のような「環境にやさしい」商品ばかりが並べられたサイトで買い物をし、もう一方は、白熱球のような従来の商品ばかりのサイトで買い物をしました。

 さらに買い物の後で、学生たちは次の2つのタスクを行いました。1つ目のタスクは最後通牒ゲームと呼ばれるものです。詳しいルールは「セクシー画像で男の決断力は鈍る」などを参照して下さい。6ドルのお金を相手と配分するよう指示したところ、環境にやさしい商品を買った被験者のほうが、自分の取り分を高く設定することが分かりました。

 もう1つのタスクは、画面に表示されたドット数を比べるというタスクでした。左右に区切られた四角形の中に描かれた20個のドットを見て、左右どちらに多くのドットがあるかを答えるというものです。正解・不正解に関わらず、左と答えると0.5セント、右と答えると5セントが賞金として得られます。こうしたタスクを90回行いました。このタスクでも両被験者に違いが見られました。環境にやさしい商品を買った被験者は、右と答える割合が明らかに高く、従来型を買った被験者よりも、平均0.36ドル高い賞金を得ていました。賞金ほしさにウソをついたと見られるのです。

 これだけではありません。タスクの終了後、被験者にはお金がいくらか入った封筒が渡され、賞金をそこから取るよう指示されました。やはりここでも両被験者の行動に違いがありました。エコな買い物をした被験者は、そうでない被験者と比べて、平均0.48ドル高い額を取っていきました。盗みをはたらく割合が高かったのです。

 研究者らは、こうした現象には「モラルの自己許諾("Moral self-licensing")」という原理が背景にあると考えています。つまり、環境にやさしい商品を買うなどの、自分が倫理的に良い行動をしていると感じると、「非社会的で倫理的に問題のある行動をとってもよい」と考えるようになるというのです。免罪符を手に入れた気持ちになるのです。

 モラルの自己許諾は、人種差や性差などの領域で知られつつある現象です。はたしてモラルの自己許諾が今回の結果にどのぐらい影響しているかは検討の余地がありますが、エコに関する消費行動が、私たちの社会的・倫理的行動にふかく関連していることが明らかになった、と彼女たちは結論付けています。

 なるほど・・・。なかなか手の込んだ実験をやっているなあと感じました。特に、賞金をわたす場面も実は調査の一部になっているのは面白いですね。調査が終わったと見せかけて油断したところも実はチェックされてるという。

 とはいえ研究者自身も述べているように、エコな行動が直接的に倫理性を左右しているかというのはさらなる証拠がいるかもしれないと感じました。もしかすると、エコの倫理的なよしあしが影響してるんじゃなくて、目新しさとか、別の要因が効いてる可能性だって考えられる。より詳細が明らかになって欲しいところです。

【参考リンク】
・元論文:Do Green Products Make Us Better People?ここに本文あり。)

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