« オバケの恐がり方は年齢によって異なる | メイン | 恐ろしい記憶の消去にはタイミングが重要 »

海洋酸性化が生物に恩恵をもたらす?


 Sciense NOW より。

■ 酸性の海洋はいくらかの海洋生物には恩恵かもしれない
 Acidic Oceans May Be a Boon for Some Marine Dwellers

 海洋の生物にとって、COの増加による海の酸性化は常に危険なものである。従来はこのように考えられていましたが、最新の研究にて、必ずしもすべての生物でそうとは限らない可能性が指摘されました。ある種の生物では、海水の酸性化によって甲殻が大きくなるという、予想外の現象が見られたのです。

 以前の研究では、ロブスターやサンゴなど、身体が甲殻などで覆われた生物は、海洋酸性化によって甲殻が失われることが予見されていました。これにより病気や補食者、外的ストレスで死ぬ可能性が高くなると考えられていました。

 しかし、ノースカリフォルニア大学の海洋科学者 Justin Ries らは、ある種の生物では、むしろ逆に、より発達した甲殻が得られることを発見したのです。

 彼らは、酸性度を4通りに分けた水槽に、18種類の生物をそれぞれ住まわせました。水槽の1つは、酸性度が現在のCOのレベル相当に合わせられ、他の3つの水槽は、それぞれ工業化時代以前の2倍、3倍、10倍のCOのレベルに合わせられました。今から100~700年後の想定レベルです。

 こうした環境で育った生物には興味ぶかい特徴が見られました。ワタリガニ、ロブスター、エビは、10倍のCOレベルに合わせた環境でも生存できただけでなく、より重量の大きな甲殻を得ていたのです。反対に、アメリカガキ、ホタテガイ、サンゴ、チューブワームは甲殻が弱くなりました。二枚貝やパイプウニは、10倍の環境では甲殻がすっかりなくなってしまいました。

 いったいなぜこのような違いが見られたのでしょうか? 研究者たちは、この原因が甲殻の炭酸カルシウムの種類によることを突き止めました。が、これが全ての理由を説明するとは限らないようで、詳細な調査が今後必要です。

 また、甲殻が大きくなることによって、実際にどのような生存上の違いがあるかについても、まだハッキリとはしないようです。防御が高まるというメリットは期待できそうですが、一方で、甲殻の生成にエネルギーを費やすため免疫上のデメリットなどが存在する可能性があります。海洋酸性化がこれらの生物にとって本当にプラスだとは現時点では言い切れず、研究者自身、「酸性化への生物の反応は、私たちが思うよりもはるかに繊細で複雑である」と言うにとどめています。

 なるほど。海水の酸性度が高くなると甲殻は溶けてしまうというイメージがあるだけに、今回の反対の結果は意外に感じます。なお、当然ですが、今回の結果からは「酸性化を抑止する必要はない」という主張を引き出すことはできませんのでご注意を・・・。

【参考リンク】
・元論文:Marine calcifiers exhibit mixed responses to CO2-induced ocean acidification

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.riverplus.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/3089