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トレーダーは笑顔にご注意を?


 New Scientist より。

■ 楽しい気分のトレーダーはリスクを取ろうとするかもしれない
 Cheery traders may encourage risk taking

 このブログでは以前から何回か、笑顔を見ることがもたらす心理的な効果について取り上げてきました。

 「5分間遊ぶだけでストレスが減るゲーム」では、笑顔を探すゲームで遊んだコールセンターの従業員にストレスレベルの低下が見られました。「ハッピーな気分がもたらす志向」では、笑顔を見た被験者がより上位のものの考え方をするようになりました。いずれも、笑顔を目にすることが心理的によい効果をもたらしていました。

 しかし、今回の新たな研究では、笑顔を見ることが、株式投資において、リスキーで非合理的な選択を被験者にさせてしまうことが明らかになりました。

 この研究を行ったのは、ミシガン大学の大学院生 Julie Hall です。彼女は認知神経科学ソサエティ大会で、こんな実験結果を発表しました。

 彼は12名の男性と12名の女性からなる被験者を集め、次のような株式投資ゲームをプレイしてもらいました。

 被験者は、各ラウンドの始めに、「安全な」株と「リスキーな」株のどちらかを選びました。安全な株に投資すると、3ドルを手にすることができます。一方、危険な株に投資すると、半分の確率で5ドルが得られますが、半分の確率で5ドルを失ってしまいます。

 また、どの株が安全でどの株がリスキーかはゲーム開始直後は分からないようになっていました。ラウンドごとに各銘柄の安全/リスキーが知らされるようになっていました。現実世界での運用を模すためです。

 さらに、被験者らは、各ラウンドの前に、人物の顔画像を示されました。半分は無表情の顔を示されました。もう半分は、ハッピーな顔を示されました。

 さて、結果はどうだったか。このルールのもとでは、つねに安全な株に投資し続けることが合理的であると言えます。実際、無表情を見た被験者のほとんどは、安全なほうを選びました。しかし、笑顔を見た被験者は、リスキーな株を選ぶ頻度があきらかに高くなっていました。この傾向は、笑顔を一瞬だけ表示させたときも変わりませんでした。

 今回の結果は、顔による感情表現が、たとえそれは意識的に認識されなかったとしても、人々の投資決定に影響をおよぼし得ることを示していると言えます。そしてこの影響を今後より詳しく調べることで、投資家が見せる非合理的な行動の理由を説明する意思決定モデルが作れるようになるかもしれない、と著者は述べています。

 なお、実験の際にはfMRIを使った脳のスキャンも行われているようです。詳細は下記のリンクをどうぞ。

 なるほど・・・。期待値では圧倒的に不利なのにもかかわらず、リスキーな方を選ぶ人が増えたというのは面白いですね。期待値を同じにしたらこれ以上に差が出てくるんでしょうかね。そのあたりも試してみてほしいところです。

 実際の株式運用の世界では、これよりもっと複雑な指標や情報がからんで投資家は意志決定をするわけですから、今回みられた感情的な効果がどこまで実世界におよんでいるかは難しい問題ですね。どなたかデスクトップの壁紙をスマイルに変えて試してみませんか?

【参考リンク】
・元論文:PUT YOUR MONEY WHERE YOUR HEART IS: AN FMRI INVESTIGATION OF AFFECTIVE INFLUENCES ON FINANCIAL INVESTMENT DECISIONS(講演資料のためリンク先不明。学会のサイトよりアブストラクト(pdf)が入手可能です。

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