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ストラディバリウスの音色を現代に再現する


 New Scientist より。

■ ストラディバリウスのレシピには防虫処理が含まれていたかもしれない
 Recipe for a Stradivarius may include pest proofing

 ヴァイオリンの名器を現代に再現するにはどうすればよいか? 化学的なアプローチから、今回新たなヒントが明らかになりました。

 ヴァイオリンといえばストラディバリやガルネリといった作成者のものが非常に有名です。これらは骨董的価値があるだけでなく、その音色の美しさから、ときに数億円もの値が付けられることがあります。

 こうした名器の音色を現代のヴァイオリンで再現しようという試みは、最近に始まったものではありません。楽器の形状や調律のしかたなど、さまざまなアプローチが行われてきました。しかし、いずれの試みも、名器の音色を再現しきれていないのが現状でした。

 こうした中、近年のアプローチには、名器の化学的な側面に注目したものがあります。テキサスA&M大学の化学者 Joseph Nagyvary は、名器の木材の物質的な性質を調ベています。彼の以前の報告では、サンプルのポリマーの状態から、何らかの化学的な処理、おそらくは保存料による処理が木材になされていたことが示されていました。

 そして今回、この化学物質を特定すべく、残されたサンプルの化学的な分析が行われました。彼は、ストラディバリ、ガルネリ、ヘンリー・ジェイ、ガン・ベルナルデル といったメーカーのヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの木を対象に、X線などによる様々な分析を行いました。

 結果、これらの楽器に対し、あきらかに化学的な処理が行われていたことが分かりました。硫化バリウム、フッ化カルシウム、ホウ酸塩、ジルコンといった物質が存在していたのです。いずれも自然の木材には見られない物質です。

 さらに、同一メーカーであっても、楽器によって化学物質はさまざまに異なることも分かりました。このことは、同じやり方で木材を処理していたのではないことを意味しています。おそらくは他の誰かによって前処理された木材で楽器を作っていたものと考えられます。

 現代の高級ヴァイオリンは、いずれも自然の木材をそのまま用いて作られています。なぜ、ストラディバリウスを再現するこれまでの試みがうまくいかなかったのか。今回の事実がその理由を説明するかもしれないと研究者は考えています。

 なるほど・・・。かつての優れた楽器メーカーは、木材に応じて処理の仕方を変えていたかもしれないと。この説が正しいすると、なぜ名門のレシピが現代に残されていないかという理由も納得がいきますね。そしてさらに木材ごとに最適な処理法を見いだしていたかもしれない点も、本当に驚くべき点だと思います。

【参考リンク】
・元論文:Mineral Preservatives in the Wood of Stradivari and Guarneri

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