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学生同士の議論で学力がアップする


 EurekAlert! より。

■ 「クリッカー」でのクラスメートとの議論で学力が上がる、とコロラド大ボールダーの研究
 Peer discussion improves student performance with 'clickers,' says CU-Boulder study

 「クリッカー」というデバイスを用いた、学生同士のディスカッションによる新しい講義スタイルが米国の大学で取り入れられています。今回、このスタイルが学生の理解度にどのような効果があるかを調べた研究結果が報告されました。

 この講義が取り入れられているのは、米国コロラド大学のボールダーキャンパスです。このキャンパスでは、学生にクリッカーと呼ばれるデバイスを持たせ、これを使った新しいスタイルの講義を行っています。

 クリッカーとは、テレビのリモコンに似たシンプルな装置です。学生らは各自のクリッカーを持って講義に臨みます。講師のパソコンには小さなレシーバーが取り付けられており、学生らはクリッカーの操作を通じて、講師のパソコンに入力を送ることができます。

 クリッカーを使うと、こんな新しい講義が可能になります。まず始めに講師から学生たちに選択式の問題が出題されます。学生たちは、クリッカーで自分の回答を送信した後で、近くの席の学生たちと、自由にディスカッションを行う時間が与えられます。学生たちは、ディスカッションの後、再度、自分の回答を送信します。

 このように、従来とはかなり違った講義が可能になったわけですが、とはいえ、こうした講義にどのぐらいの教育的効果があるのかという点は実際は不明でした。たしかに、ディスカッションの前後で学生たちの正答率はアップしているのですが、だからといってこれで学生たちの理解が良くなったと結論づけるのは早計です。つまり、理解できてない学生が他の学生の回答をコピーしたにすぎない可能性があるわけです。これまでのところ、実際の理解について確かなデータはありませんでした。

 そこで、同大学の生物学の準教授 Tin Tin Su らは、これを明らかにすべく、実際に行われた講義から、正答率の調査を行いました。

 結果はこうでした。出題直後の回答で約50%の正答率だった問題に対し、ディスカッションの後で再度回答をしてもらったところ、正答率は68%まで上昇したことが分かりました。さらにその後で、類似した内容のフォローアップ問題を解いてもらったところ、正答率は70%以上と、始めの50%より良い結果が得られました。

 さらに面白いことが分かりました。あるグループでは、はじめの回答では全員が不正解だったにも関わらず、ディスカッションで正答にたどり着きました。

 講義の中で、講師からのヒントは与えられず、学生だけの議論で正解に辿り着いたわけです。彼らはカンニングなどではなく、学生同士のディスカッションを通じて学びを得たのだと研究者は述べています。

 なるほど。ちなみに現在、同大学では約1万7千名の学生がクリッカーを持っているそうです。下記のリンクからクリッカーの製品写真などが見られますが、思っていた以上にシンプルなインターフェースで少し驚き。学生から文字入力ができたり画像や動画の送受信ができたり・・・とかいった想像とは全くの逆で、5つの選択肢を選べるだけと、本当にシンプルです。将来はどういう方向に進むのかな、と興味が湧くところです。

【参考リンク】
・元論文:Why Peer Discussion Improves Student Performance on In-Class Concept Questions
i-clicker

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