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知能の高い兵士は戦死しやすい


 New Scientist より。

■ 知能の高い兵士はもっとも戦死しやすい
 Intelligent soldiers most likely to die in battle

 第二次世界大戦の兵士たちの知能指数(IQ)のデータを調べたところ、大戦を生き残った兵士たちのIQは、命を落とした兵士たちのそれよりも低いことが明らかになりました。

 この事実を発見したのは、英国エディンバラ大学の心理学者 Ian Deary です。彼は、英国の陸軍の人員記録を調べ、スコットランド兵士の戦時中の生死のデータを手に入れました。

 彼が調査対象としてスコットランドを選んだのには訳があります。スコットランドでは、1932年にIQテストが行われていました。言語や数、空間認識といった能力について、当時11歳だったすべての児童を対象にテストが行われていたのでした。

 すでにある研究では、児童期のIQは後年の知性と十分な関わりがあることが知られています。そこで彼は、児童期のIQと、兵士の生死との間にどのような関連があるかを分析しました。

 結果はどうだったか。両データベースで名前が照合できた男性兵士470名のうち、第二次世界大戦で戦死した兵士のIQは平均100.78だったのに対して、生存した兵士は平均97.42と、明らかに死亡者のほうが高いスコアだったのです。一般的にはIQが高い人ほど長生きする傾向がありますが、戦時中の兵士に限ってはこれと逆の傾向が見られていたのです。

 こうした傾向が出たのはなぜなのでしょうか? どうやらこの点については、はっきりした理由付けはまだできていないようです。一つの可能性として研究者は、近年の戦争では腕力よりも知力が重視されることが多く、IQの高い兵士は戦地の最前線へと立たされる可能性がより高かったのではないかと仮説を述べています。とはいえ、児童期のIQと戦死との関連性を調べた調査というのは少ないこともあり、今後はたとえば海軍や空軍などでの同様の調査を行うつもりとのことです。

 なるほど。まあ一概にIQといっても、そこには親の社会的地位や地域、教育の質など、いろんな要因が絡んでいるわけで、両者を単純に結びつけるというのは困難なんでしょう。

 この研究者たちはIQと寿命の関連の調査もやっていたりしてるようで(下記リンク参照)、今回の調査もその一環なのかなと思いました。軍隊など特殊な職業での傾向と一般的な傾向とを比べることで、両者の関係をはっきりさせようと考えているのかな、と想像しました。

【参考リンク】
・元論文:Childhood IQ and in-service mortality in Scottish Army personnel during World War II
しんりの手 :psych NOTe知能が低いと死ぬ危険度が1.4倍。反応時間のせい

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コメント (2)

綺麗山:

リンクを張っていただいてありがとうございます。戦死したほうがIQが高かったとは意外な結果で面白い。筆者の言うIQにより配置先の危険度が違うというのはある程度納得。僕が思うのは知性が邪魔する可能性。以前riverplusさんの記事でIKEAの家具だか車を選ぶだかで考えすぎると結果が悪かった、というのがありました。あれみたいに直感で危険を感じたら対処するとかはIQが邪魔したりするのかも。とても面白いです。

riverplus:

こんにちは。心理学のトピックをあつかうと、よく下調べのときに綺麗山さんのブログにヒットします。そんなわけでいつもお世話になっております。

知性が邪魔する可能性、これは僕もおもいました。戦争のような極端な状況では直感(本能)にしたがって行動したほうがよくて、考えすぎるとかえって判断ミスをしやすくなるという可能性。たとえば同じ戦地に行ってきた兵士どうしを比較するとヒントがあるのかもしれません。

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