« 最強のめざまし音を探す試み | メイン | マウスの記憶の選択的消去が可能になった »

モノクロテレビ世代はカラーの夢を見るか?


 New Scientist より。

■ 白黒ついた:テレビは夢に影響する
 It's black and white: TV influences your dreams

 あなたが普段みる夢は白黒でしょうか、それともカラーでしょうか。新たな研究によると、幼少期に白黒のテレビや映画を視聴していた人は、そうでない人と比べて白黒の夢を見やすいということが示されました。

 夢の色については研究者のあいだで議論が分かれています。1915年から1950年ごろにかけて行われてきた研究では、人々が見る大半の夢が白黒の夢でした。しかし、60年代になるとその傾向は変化してきました。最近の調査では83%の人がカラーの夢を見ていることが分かっています。

 この違いは一体なぜなのでしょうか? ひとつには、テレビや映画のカラー化の影響ということが考えられます。カラー化の普及はちょうどこの二つの時期の間に起きています。この時期のメディアの視聴が夢に影響をおよぼしたのではと考えられるのです。

 ですがこれには次のような反論があります。近年の調査では、被験者に朝起きてすぐに夢の色を記録してもらっていました。一方で、以前の調査では、日中のアンケートで夢の色を調べています。つまり、日中には夢の色など覚えていない可能性が高く、そうした人は白黒と答えてしまう恐れがあるのです。

 と、このように、夢の色へのメディアの影響の有無は、結局のところ定かにはなっていませんでした。

 以上が前おき。この問題を解決すべく、とある実験が行われました。

 実験を行ったのは英国のダンディー大学の Eva Murzyn です。彼女は60名の被験者を集めました。半数は25歳以下、半数は55歳以上でした。彼女は被験者らに、ふだん見る夢の色についての質問と、幼少期の映画・テレビ視聴についての質問からなるアンケートに回答してもらいました。さらにその後、毎朝にその日みた夢の記録を付けてもらうよう依頼しました。

 集められた結果はどうだったか。アンケートの結果と毎朝の記録の結果とで、目だった違いは見出されませんでした。つまりこのことは、以前と近年との結果の間に、調査方法による差の影響はなかったことを示していると考えられます。

 さらに、メディア視聴と夢の色との関係も調べました。すると、55歳以上の層のうち、幼少期にカラーテレビを見ていた人では7.3%が白黒の夢だったのに対し、白黒テレビを見ていた人では、約4分の1が白黒の夢でした。ちなみに25歳以下では白黒の夢の割合はわずか4.4%でした。

 昔の時代は、今ほどテレビや映画を視聴する機会は多くなかったのかもしれません。にもかかわらず、今回の結果は、幼少期に見たメディアのインパクトが数十年たった今でも残っており、意識に大きな刷り込みをもたらした可能性を示しているといえます。

 とはいえ、これでメディア視聴と夢の色との関係が全面解決したというわけではありません。被験者の見た夢はほんとうに白黒だったのか? 思い出すという行為にメディア視聴の影響があるのでは? このあたりの疑問が未解決なのは彼女自身も認めているとおりです。

 なるほど・・。報告を自己申告によらざるを得ない以上、夢の研究にはどうしてもいくらかの不確実さは残ってしまうのかもしれません。記憶違いをどのように減らすかが今後の研究のポイントになるのかな。

 そういう意味でちょっと気になったのは、1人の被験者に対してアンケートと記録の両方の調査をやってもらっている点。アンケートに答えるという行為それ自体が、夢を思い出すことに何らかの影響をおよぼすかもしれないなあと不安になりました。つまり、アンケートがいわば夢の宣言みたいなものになってしまって、夢を思い出すときに無意識にアンケートの内容にすり合わせてしまう恐れがあると思うんですね。より正確さをはかるには、アンケートのみのグループと毎朝の記録のみのグループとに分けるなどの措置が必要じゃないかな、と思いました。

【参考リンク】
・元論文:Do we only dream in colour? A comparison of reported dream colour in younger and older adults with different experiences of black and white media

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.riverplus.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/2864

コメント (2)

ケンボー:

昔は色つきの夢を見る人は精神疾患の気があると診断されたようです。

そういう意味では、昔は色つきの夢を見る人は少なかったんでしょうかね。

riverplus:

コメントありがとうです。
へええ、精神疾患なんて言われるほどだったんですね。


テレビや映画が登場するさらにずっと前がどうだったかが分かると良い手がかりになりそうですが、さすがにそれは無理そう。。

コメントを投稿