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アリは巣のカモフラージュに殉死する


 ScienceNOW より。アリの変わった習性が明らかになりました。

■ アリの最後の戦い
 Last Ant Standing

 アリやハチなどの一部の昆虫では、敵が襲ってきたときに、自分の命と引き換えに仲間を守ることがよくあります。今回、巣を隠すという目的のために命を捨てるという変わったアリの習性が明らかになりました。

 このアリは、ブラジルに生息する Forelius pusillus という種類のアリです。ポーランドのクラクフ農業大学の行動生態学者 Adam Tofilski らは、ブラジルの São Simão という地域のサトウキビ畑にすむアリの行動を調べたところ、とある奇妙な習性を発見しました。

 このアリは、毎日、夜になると、入り口の部分にフタをして中に入れないようにします。このとき、数匹のアリたちが、巣の中に戻らずに外に出たままになります。このアリたちは、それから50分という時間をかけて巣の入り口に砂をかけ、完全に周囲と見分けがつかない外見にカモフラージュをするのです。

 研究者たちは、この取り残されたアリたちを採取し、プラスチックの容器の中で一晩育てました。すると、採取した23匹のうち、翌朝まで生き残ったはわずか6匹しかいませんでした。

 このアリは非常に弱い生き物で、若くて健康な個体であっても、巣外で一晩も放置されれば簡単に死んでしまいます。したがってこのアリたちは、自殺に等しい行為をあえて選んで、巣をカモフラージュする行為に殉じたと言えるわけです。

  Forelius pusillus の巣では、毎晩こうした行動が繰り返されています。今回の発見は、外敵の襲来のとき以外で昆虫が自殺行為を選んだことを示す初の証拠といえます。働きアリが大量にすむ環境において数匹の命と引き換えに巣の防御を高めるという行動が、自然淘汰によって有利にはたらいているのだろう、と著者らは述べています。

 一体どういったアリが犠牲者に選ばれるのか、どういった脅威に備えているのか、といった点はまだはっきりしていません。今後、こうした動機が明らかになれば、昆虫たちの利他行動がどのように進化してきたかを知る手がかりとなることでしょう。

【参考リンク】
・元論文:Pre-emptive defensive self-sacrifice by ant workers

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