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文明の誕生に災害が一役買っているかもしれない


 ScienceNOW より。

■ 動乱がローマの誕生をもたらしたのか
 Did Rumbling Give Rise to Rome?

 かつて文明が栄えた地域と、地殻プレートの境目の地域。いっけん関係のなさそうな2つの地域ですが、これらを地図上にプロットしてみたところ、驚くべき一致があることが明らかになりました。プレートの境界といえば、地震、津波、火山など、災害が起きるおそれが高いところです。もしかすると、災害の起こりやすい環境は、文明の誕生において何か重要な役割を担っているのかもしれません。

 この一致を発見したのは、米国アリゾナ大学の地質学者 Eric Force です。彼はキャンプ旅行の最中にこの両者の関係に気がつきました。地質図で確認してみると、古代文明の多くが、プレートの境界位置で栄えていたことが見て取れました。そこで彼は、この関係をより定量的に評価することにしました。

 彼は15の文明を調査対象として選びました。ローマ、エトルリア、ギリシア、ミュケーナイ、ミノア、西アジア(テュロスとエルサレム)、アッシリア、メソポタミア、ペルシア、インダス、アーリア、エジプト、中国です。彼は、人間が居住可能な土地がじゅうぶん存在すると仮定した上で、これらの文明の配置が偶然に生じたものである確率を計算しました。

 結果、詳細な計算の過程は記事には記されていませんが、エジプトと中国を除く13の文明について、プレート境界の近くに誕生したのは偶然とはいえないことが確かめられました。

 いったいなぜ、このような災害が多い地域で、文明が発生したのでしょうか? 地質学的には、境界ちかくは水が豊富であることや、火山噴火がよい土壌をもたらすことが知られていますが、これらがパターンを完全に説明するわけではありません。Force は他の説明としてこんなユニークな可能性を挙げています。つまり、災害が起こりやすいということが、人々に備えをさせ、社会を発展させる原動力となったのではないか、と。たとえば耐震性のある建物や、食物の貯蔵方法など、将来おこりえる危機や変化にそなえることが、文明の発展をスピードアップさせたのではないか、というのが彼の説明です。

 なるほど、この関係はおもしろいですね。ちなみに彼の論文ではもう一つ興味ぶかい事実が書かれてあります。文明から境界までの距離と、栄えた期間との関係をプロットしてみたところ、境界から離れた文明の方が、より長い期間さかえ続けていたことが分かったのです。境界ちかくの地域は、文明の発生そのものには適しているけど、長く繁栄し続けるには適さないということなんでしょうか? このあたり、より詳しい発見ができると面白いと思います。

【参考リンク】
・元論文:Tectonic environments of ancient civilizations in the eastern hemisphere

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コメント (2)

小島剛:

「銃・病原菌・鉄」ジャレッド・ダイアモンド
っていう本があるけど、これが参考にならないかな?
ならないかも知らないけど、これはこれで面白いよ。

ご紹介ありがとうございます!
図書館に取り寄せだしてみました。
土日に(読めるのかなあ)読んでみますよ。

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