« 腹ペコなクモは致死性の高い巣を作る | メイン | ビール・ゴーグル効果の存在が確かめられた »

森林火災の防止が温暖化を悪化させる?


 Science Now より。

■ スモーキーベアは地球温暖化を悪化させているのか
 Is Smokey the Bear Worsening Global Warming?

 森林火災を食い止めることは、より多くの二酸化炭素を吸収し、温暖化をとどめるうえで欠かせないことだと考えられてきました。ですが、今回あたらしく発表された研究によると、実際はその逆で、むしろ吸収する量は減ってしまうことがわかりました。この結果は米国の森林防火の政策に影響をおよぼすでしょう。

 もともと、落雷などを原因とする森林火災は、自然サイクルの中でみれば必要な営みです。火災によって小さな木が取り除かれ、生き残った大きな木の成長が促されるという効果があります。

 しかし1910年頃から、米国政府は、どんな小さな火災であっても消火するという方針をとり出しました。その結果、以前であれば取り除かれていた小さな木々は、消えることなく繁栄できるようになりました。

 さて、多くの方がご存じのように、木は光合成によりCOを吸収し、呼吸によりCOを排出します。その差が炭素として体内に貯蔵されます。でははたして、上のような森林の変化によって、COを貯蔵する力にはどのぐらいの変化が起きたのでしょうか? これまで、森林が貯蔵するCOの量を、時間的に比較するというのは行われたことがありませんでした。

 そこで今回、米国カリフォルニア大学の生態学者 Michael Goulden らによってこの比較が行われました。彼らは、1930年代におけるカリフォルニア州の269の区画での貯蔵量と、1990年代の近辺の260の区画での量とを比較しました。(具体的な測定方法は記事からは不明ですが、おそらく、樹種と体積、本数についての両時期のデータを入手してそこから計算したのでしょう。)

 その結果、1ヘクタールあたりの木の本数は、この60年間で約4パーセント増加していましたが、一方で、木々に貯蔵されたCOの量は、約34パーセント減少していたことが明らかになりました。

 大きな木は、小さな木々と競合状態になるため、渇きや風害、虫害などの影響を以前より受けやすくなったと言えます。その結果、大きな木々が少なくなったために、森林全体の貯蔵量が減ったのだと著者は述べています。

 今回の調査結果は、政府の森林防火の政策に影響を及ぼすことになりそうです。

 なるほど。森林火災を減らせば二酸化炭素の貯蔵量は増えるだろうとは直感的にだれもか想像することですが、実際はその逆になるんですね。意外です。

 今後の火災防止のポリシーはどのように変わっていくのかな。実際、すでにいくらかの地域では、自然発生的な火災は人命に影響しなければむやみに消火しないという方針がとられているようです。今回の結果は、温暖化という観点から見てもこうした方針が有効だよ、と言ってることになるのかな。

 個人的には、自然発生的な火災ならほうっておく、という方針がこれから先も本当に有効なのかどうかはちょっと疑問です。かつては「自然のサイクルの一部」といわれていた火災も、いまやその前提の自然が変わってしまったのであれば、もはや「自然のサイクルの一部」という言葉で片付けてしまってよいとは思えないからです。自然のなすままというアプローチよりも、記事でも少し言及されてますが、たとえば小規模の火災を人為的に起こすとかいった方法が必要になるのかもなあと感じました。

【参考リンク】
・元論文:Has fire suppression increased the amount of carbon stored in western U.S. forests?

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.riverplus.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/2793