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腹ペコなクモは致死性の高い巣を作る


 New Scientist より。

■ 腹ペコなクモはより致死的な巣を紡ぎ出す
 Hungry spiders spin deadlier webs

 腹ペコ状態のクモと、そうでないクモ。両者のクモのつくる巣を比較してみたところ、前者のクモは、たくさんのエサを手に入れるのに有利な巣をつくるのに対し、後者のクモは、捕食者からの防御を高めるのに有利な糸を多くつくっていることが明らかになりました。

 この実験を行ったのは、米国アクロン大学の研究者 Jacquelyn Zevenbergen と Todd Blackledge です。彼らは、日本ではクロゴケグモと呼ばれる種類のクモ(英語では Black Widow、交尾の後で雌が雄を食べる習性があることからこんな名前がついたのだとか)のつくる糸の性質を調査しました。

 彼らは2種類のクモを実験室でそだて、一方のクモには毎日1匹のコオロギをエサとして与え、もう一方のクモには1週間なにも与えませんでした。そして、その後クモを別の場所に移しかえ、その場所でそれぞれのクモがつくる糸を比較しました。

 単純にクモがつくる糸の量を比較した場合、満腹のクモのほうが空腹のクモよりもたくさんの糸を作り出すことが分かりました。

 しかし、糸の性質をみてみると、空腹のクモは満腹のクモとくらべて、ベトベトした糸で、シート状の網をつくる傾向が強いことが分かりました。一方で満腹のクモは、2倍の太さがある丈夫な糸を多く作り出していました。

 クロゴケグモは、シートを地上に地面と垂直になるように設置します。ここに虫がひっかかると、振動を通じてクモはエサの存在を知り、行動を開始します。シートを地面から切り離し、そのまま上に持っていって、虫を宙吊りにして捕獲するのです。クロゴケグモにとって、シート状の巣は、エサを捕らえるのに適しているのです。じっさい、空腹なクモがつくった巣に別のクモを住まわせてみると、より多くのエサを短時間でゲットできていることが確認されました。

 一方、満腹のクモは、丈夫な糸をつかって立体的な構造をつくり、巣の防御力を高めていました。どのように調査をしたのか元記事からは不明ですが、空腹なクモとくらべて、巣の強度が22.5%増していることが分かりました。

 今回の結果は、クモが自身の栄養状態に応じて、自分のリソースをより生存上有利な戦略へとシフトさせたことを示しているといえます。

 これまで、クモの周囲の環境が巣の構造に影響を及ぼすということはよく知られていましたが、クモ自身の状態がどのような影響を及ぼすについては情報が十分ではありませんでした。今回の研究はこの理解のための一歩となるでしょう。


【参考リンク】
・元論文:Fine dining or fortress? Functional shifts in spider web architecture by the western black widow Latrodectus hesperus

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