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脳の写真がある科学記事は信用されやすい


 ポッドキャスト番組 60-Second Psych より。

■ 脳のイメージは不正確な科学ニュースを信頼あるものにする
 Brain Images Make Inaccurate Science News Trustworthy

 「テレビを視聴しているときの脳の活動と、数学の問題を解いているときの脳の活動をスキャンし比較するという調査が行われました。すると、いずれも側頭葉の部分が活発に活動していることが明らかになりました。この結果は、テレビを視聴することが数学能力を向上させることを意味しています。」

 ・・・ごめんなさい。上の文章はまったくのデタラメです。さて、今回発表された研究によると、「テレビの視聴は数学の能力と関連している」と題されたこの架空の記事を、脳のイメージ図と一緒にして被験者に読ませたところ、棒グラフと一緒にして示したときや、説明の文章だけを示したときと比べて、より多くの被験者が、この記事を科学的に正しい推論であると判断したことが分かりました。

 この実験を行ったのは、米国のコロラド大学の David P. McCabea とカリフォルニア大学の Alan D. Castel です。彼らは、156名の学部生(18~25歳)を集め、上に示した認知神経科学の記事を読ませました。このとき、三つに分けた第一のグループの被験者に見せた記事には、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)による脳のイメージ画像が含まれていました。また第2のグループには、脳の活動の強さを棒グラフで比べた図と文章、第3のグループには文章のみが示されました。

 ご覧になって分かる通り、上記の記事は、明らかにめちゃくちゃな推論です(実際は約300ワードの文章でこれより多少は分かりにくくなってますが)。研究者たちは、読み終わった被験者たちにアンケートをとり、「この記事は科学的に筋の通った推論である」という意見にどのぐらい同意するかを、4段階(1:全く同意できない、4:強く同意する)で評価してもらいました。

 結果はこうでした。文章だけを読ませたグループと棒グラフと一緒に読ませたグループとでは目立った違いは見られず、いずれも平均して2.7程度のスコアでした。しかし、脳のイメージを見せたグループでは違いが見られ、平均でおよそ2.9のスコアを示したのです。つまり、fMRIの図を一緒に見せることで、記事の信用度が目だって上がったのです。

 一体なぜこのような違いが見られたのでしょうか? ありそうな説明は、単純な棒グラフよりも活動図のほうが複雑で情報量も多いから、というものです。でも果たして本当にそれだけなのか? 研究者たちはこれを確かめるべく別の実験を行いました。

 第2の実験では、二つに分けられた一方のグループには脳の地形図(左)が、もう一方には脳の断面図(右)が、先ほどの文章とともに示されました。図は元論文より引用しました。いずれの図も同じ脳活動を示している点で同じなのですが、断面図の方は実際の脳をイメージさせる表現なのに対し、地形図の方はそうではない抽象的な表現です。

 この二つの比較はどうだったか。地形図では平均2.6程度だったのに対し、断面図では平均2.7程度、なお若干の違いが見られたのです。つまり、脳のイメージを使うことにより、他の表現手段よりも大きな説得力が得られることが分かったのです。

 いったい何がこの差を生み出したのか? 著者らは、この説明として、脳イメージという実体のある表現が、人々の直感に訴えたことが原因ではないかと述べています。

 なるほど。情報の見せ方ひとつで信用度が違ってくるものなんですね。個人的にはすごく同意というか共感してしまう結果です。

 たとえば雑誌・新聞の記事のように、短時間でばーっと文章を読むときなどは気をつけないといけないかもしれません。意識的に注意しないと、もっともらしい挿絵や写真についつい判断を奪われてしまうことになるかも。そんな戒めを感じました。

 あるいは、別の見方として、相手に情報を伝えるときのヒントを含んでいると見てみるのも面白そうです。


【参考リンク】
・元論文:Seeing is believing: The effect of brain images on judgments of scientific reasoning

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