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都会で生きるため雑草は進化する


 Science NOW より。

■ 雑草はどのように都市に慣れるのか
 How Weeds Take to Cities

 都会に生活する雑草が、都会で生き抜くために、非常に短いスパンで種子を進化させていることが明らかになりました。

 今回のターゲットは、Crepis sancta という名前の植物です。キク科に属し、主にヨーロッパに生息します。見た目はタンポポと似ており、アスファルトの隙間や植え込みなどでよく見かける、非常にありふれた植物です。

 この植物は、2種類の種子をつくることが知られています。1つは綿毛のついた軽い種子、もう1つは綿毛のない重たい種子です。軽い種子は風にのって遠くまで移動することができる一方、重い種子はそのまま本体の近くの地面に落下します。(それぞれの種子の写真はリンク先を参照。)

 さて、すでに研究者たちの間では、Crepis sancta は周りの環境に応じて2つの種子の割合をコントロールしていることが知られています。たとえば島地にすむ Crepis sancta は、重い種子を比較的たくさん作ります。これは、飛び散りやすい軽い種子だと海に落ちてしまうリスクが高いことが理由の一つと考えられています(*1)。しかし、環境の条件をきちんとコントロールした実験はたいへん難しく、仮説を裏付けるために、より多くのデータが必要とされている状態でした。

 そこで、フランス国立科学研究センター(CNRS)の Pierre-Olivier Cheptou らは、歩道沿いの街路樹の脇に生息する Crepis sancta に着目をしました。歩道では、樹の根元の部分だけが土になっていて、その外はすべてアスファルトに覆われています。こうした領域では、発芽できる領域が数メートル四方に限られているため、飛びやすい軽い種子は不利となるだろうと予測されます。そこで彼らは、モンペリアという街で、街路樹わきの Crepis sancta を採取し、田舎で採取したものと比較しました。

 結果はこうでした。まず、重たい種子と軽い種子の比率を調べてみたところ、都市の Crepis sancta は全体のおよそ15%が重たい種子だったのに対して、田舎の場合は約10%が軽い種となっていました。

 さらに彼らは、遺伝モデルをもちいて、このような種子の比率の変化がいったいどの時期に生じたものなのかを調べました。すると、この変化はここ12年間というきわめて短い時間のうちに起こっていたことが明らかになりました。ちなみに12年前というのは、この道路が造られた時期だそうです。道路の建設という大きな環境の変化にたいして、Crepis sancta は種子の比率を変えることですみやかに都市の生活に適応したのです。

 この結果は、種の拡散のしやすさという側面から見た環境の変化が、極端に急激な進化を植物にもたらしたことを示す例と言えるでしょう。そしてさらにここから一歩進めると、今回の調査は、山林開拓と自然保護とのバランスを考えるときの重要なヒントになると考えられます。

【参考リンク】
・元論文:Rapid evolution of seed dispersal in an urban environment in the weed Crepis sancta
・著者のサイト:Crepis sancta: a model system
・(*1) The Evolution of Flightlessness in Insects

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