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90分の昼寝で長期記憶はアップする


 Scientific American のポッドキャスト番組、60-Second Science より。

■昼寝は新しい仕事の記憶を向上させる
 Naps Improve Memory of New Tasks

 仕事中に居眠りをしてしまったときの言い訳がひとつ増えるかもしれません。90分間の昼寝をとることで、脳の中の長期記憶の整理がより高速に行われるようになったということが、研究者たちの実験報告によって明らかになりました。

 実験を行ったのは、イスラエルのハイファ大学の Avi Karni 教授と Maria Korman 博士です。彼らは被験者を集めて、次のような2種類の実験をやりました。

 1つ目の実験では、まず被験者を2つのグループに分けました。実験の日の午前、研究者たちは両方の被験者に対し、指をある順番に曲げて親指につけるという動作のパターンを覚えて、できるだけ正確かつすばやく行うよう練習してもらいました。そしてその後、一方のグループには90分間の昼寝の時間を与えました。もう一方のグループには起きたままでいてもらいました。そして晩にふたたび被験者を集め、午前に練習した一連の動作を再度テストしました。

 結果はどうだったかというと、昼寝を楽しんだ被験者のグループにおいて、成績の大幅な向上がみられることが分かりました。一方で起きたままでいた被験者のグループには特に向上は見られませんでした。一晩たってからもう一度テストを行ってみると、両者の違いはなくなっていました。

 さらにこれとは別に第2の実験も行われました。こちらの実験でもやはり被験者を2つのグループに分け、両方のグループに対し、2時間の間隔をあけて2回、それぞれ異なる指の動作を学習してもらいました。かつ、一方のグループの被験者には、あいだの2時間のうち90分間だけ昼寝をしてもらいました。そして先ほどと同様、その日の晩にテストを行いました。先ほどと異なり、被験者たちは2パターンの動作を記憶したことになるのですが、行われたテストは、一度目に覚えたほうの動作のみがテストされました。つまり、二回目の学習のほうはフェイクで、一度目の記憶への妨げとするために行ったのです。

 結果はこうでした。起きたままのグループでは、晩のテストでも翌朝のテストでも成績に特に向上は見られなかったのですが、昼寝をしたグループでは、晩のテストではそれほど大きな向上が見られなかった一方、翌朝のテストで大きな成績の改善が見られたのです。

 つまり、学習を行ったすぐあとに昼寝をとることによって、2回目の学習による干渉の影響が大きく削減されたものと考えられます。研究者たちは、90分間の昼寝によって、被験者たちの脳の中で記憶の整理が行われたのだと記しています。

 研究者たちは、「睡眠中に生じる記憶プロセスの詳細なメカニズムはなおも不明だが、この研究の結果は、記憶の整理がスピードアップできる可能性を示しており、将来的にはこれを人工的に行えるようになるかもしれない」と述べています。

 とのことですが、むーん、両実験の解釈がなかなか難しいですね・・。第1の実験で、晩に見られていた両グループの違いが翌朝になるとなくなっていたのはなぜか? 第2の実験の晩のテストで昼寝グループの成績がよくなかったのはなぜか? 記事テキストや大学のプレスリリース(下記リンク参照)を読むかぎりでは、あいにく僕にはうまく説明ができないです。

 元論文の摘要をばーっと見る感じ、今回みられた傾向は、指を順番どおりに動かすといった「動きの記憶」に特徴的な現象だという感じのことが書かれてあります。より詳しく知りたい方はぜひ本文をどうぞ。

 ・・自信をもって仕事中の昼寝ができるようになるには、もうちょっと勉強が必要のようです。


【参考リンク】
・ハイファ大学のプレスリリース:Want to improve your memory? Take an afternoon siesta
・元論文:Daytime sleep condenses the time course of motor memory consolidation

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