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母音の分類過程がシミュレーションで再現された


 Science NOW より。

■ コンピュータ学習のための小さな一歩
 A Baby Step for Computer Learning

 人間が発音するさまざまな単語を聞いて、これらの母音のカテゴリー分けを行うというコンピュータモデルが生み出されたそうです。通常、こうしたカテゴリー分けは、その言語にいくつの母音が含まれるか、などのような事前の情報がないと難しいのですが、今回のモデルはそうした情報を必要とせず、入力された発音のみをもとに、母音をグループに分けることが可能なのだそうです。

 今回の結果は、音声認識プログラムに使えるほか、幼児が成長の段階でどのように言葉を認知するのかを理解する助けとなるだろうと考えられます。

 米国スタンフォード大学の認知神経学者 James "Jay" McClelland らは、30名の母親を集めて、ある言葉を子供に向かって読んでもらいました。その言葉は意味のない単純なものでした。次に録音した音声データを解析して、音の持続時間、強い周波数成分といった値を抽出しました。この値を、ニューラルネットワークと呼ばれるモデルへの入力として扱うことで、コンピュータに学習を行わせたとのことです。

 ニューラルネットワークというのは、ニューロンやシナプスを模した計算機シミュレーションのモデルのことです。似た入力が繰り返されることで特定のニューロン間のつながりが強くなるといった特徴があるため、これを利用したパターン認識など、いろいろな分野で研究が行われています。

 今回の実験では、単純のために、「beet」「bait」「bit」「bet」の4つに含まれる発音のみを母親たちに読んでもらい、その音声を入力しました。その結果、彼らのプログラムは、入力の発音について情報をなんら持たないにも関わらず、すぐに音声を4種類のかたまりに分類することができました。記事によると、時間にして80%以上の音声データを分類できたとのことです。Scientific American でも同研究に関する記事が出ています(Bare-Bones Program Learns English and Japanese Vowels)こちらの記事では、英語だけでなく日本語でも同様のテストを行い、やはり良い結果が出たようです。

 今回の結果をもとに、幼児の言語学習の過程が説明できるようになったのかというと、それ以外の要因があまりに多すぎるため、結論付けるのは現段階では尚早です。ですが、今後の研究しだいで、言語の学習を計算機上で完全にトレースする、なんてことがひょっとしたら可能になるのかもしれません。


【参考リンク】
・(元論文) 見つからず・・。Proceedings of the National Academy of Sciences誌らしいのですが。

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