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食事中に薬を飲んでお金を節約?


 New Scientist より。

■ 食べ物と一緒に薬を飲むとコストを減らせるかもしれない
 Taking drugs with food may take a bite out of costs

 ふつう、薬を飲むときは、処方箋で決められた量と時間を正しく守って飲まないといけません。言うまでも無いですが、これを守らないと、予想もしない悪影響を受けてしまうことがあります。例えば、「空腹中に飲むこと」と指示がある薬を誤って満腹中に飲んでしまった場合、効き目が出すぎてしまう、といった悪影響の出る可能性があります。

 ですが、ここで見方を変えてみると、あえて満腹時を選んで飲むことにすれば、本来よりも少ない量で必要な効き目が得られるんじゃないか、という考えが出てきます。そしてもしそれができれば、薬にかかるお金をいくらか節約できるんじゃないか、と期待できるのです。・・・と、反射的にいぶかしく思ってしまうアイデアですが、これを本当に調査している人たちがいるようなのです。

 なお、先に言っておきますが、この記事およびリンク先の記事は、決してこうした試みを皆さんに勧めているわけはありませんので、ご注意下さい。

 今回の対象である Lapatinib という薬は、乳がんに効果がある薬で、すでに米国等では市場に出回っています。ですが非常に高価で、1ヶ月に2900ドルものお金がかかってしまうのだそうです。

 そこでシカゴ大学の Ezra Cohen と Mark Ratain は、食事直後に服用することでどのぐらい薬を効果を高められるのか、計算を行いました。臨床試験のデータをもとにしたところ、血液中の薬の成分は、低脂肪の食事とともに服用した場合で1.7倍、高脂肪の場合で3.3倍多くなると見積もられたとのことです。著者らはここから、Lapatinib にかかるコストを月当たり1700ドル節約することができる、と述べています。

 しかしこの研究には他の研究者たちから注意が促されています。ハーバード大学医学部の Steven Pearson は、健康保険の普及や、薬の価格の適正さを議論することが先決だ、と述べています。記事にはこれへの直接的な反論はありませんでしたが、Cohen は、この種の試験は公衆からの要望があるときにのみ行う、と述べています。同時に、Lapatinib は過剰になると高血圧を引き起こす恐れがあり、安全性を示すためにはもっと多くの研究が必要のため、家庭で試すような真似はすべきでない、と述べています。

 まあ僕自身は、たしかに今回のアイデア自体はユニークなものだとは感じるけど、薬代の節約をこれで目指す、っていうのは到底実現できないだろうと思いますねえ。薬の価格は、研究開発費と患者数におもに依存して決まるのでしょうから、極端な話、もし薬代が半分で済む飲み方が発見されたとしたら、製薬会社は、同じ利益を得るために価格を2倍にアップさせるだけでしょう。それよりも、食事中の服用とによる患者間の効き目のバラつきのリスクの方が大きくなるんじゃないかなと思います。

 とはいえアイデア自体は何かに応用できそうな気もします。たとえば、災害などの影響で、一時的に薬が不足してしまう状況では役に立つかもしれません。そういった場合に備えて、少量で安全に効果が得られる飲みかたが情報として整理されているならば、今回の研究を継続する意義はあるかと感じます。

【参考リンク】
・(元論文)The Value Meal: How to Save $1,700 Per Month or More on Lapatinib (何か胡散臭いタイトル・・)

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