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空から教科書が降ってくる

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 Techonology Review 誌を眺めているときに遭遇した素敵な記事。
 
 本誌では、「2006 Young Innovators Under 35」という特集で、精力的な活動をしている35歳以下の研究者たちを取り上げています。今回ここで紹介するのは、「EduVision」というシステムに取り組んでいる Matthew Herren という人物です。
 
 このプロジェクトの舞台は、アフリカのケニアにあるビタ(Mbita)という場所。ここを始めとしたアフリカの多くの地域では、財政的な事情により、子供たちの教科書を準備することが十分にできません。そこで、本がないなら電子ブックを、というわけで彼は今回のこのシステムを提案しました。
 
Beaming textbooks across Africa
(アフリカ中に教科書データを送る)
 
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 アフリカで育った Matthew Herren は、財政の苦しい地方の学校の多くの子供たちが、数十年前の古い教科書で何とかしないといけないのを見ていた。この問題への低コストの解決法を見つけ出すことに奮起され、彼は衛星を用いて最新の教材を伝送するというアイデアを思いついた。彼は、伝統的な援助団体のプログラムによるのではなく、一連の自立したビジネスを通じて、この技術を確立することを目指している。
 
 子供たちに本や他の教材を提供することの「コストを下げる技術的な方法が必要とわかりました」と Herren は語る。(「教育に促進される開発」を参照。)スイス人の Herren は、単一方向の衛星無線に目を向けた。アフリカ内部の多くはインターネットへのアクセスがすぐには達しそうにないからだ。試験となる昨年は、スイスの BioVision と呼ばれる基金によって、ヴィクトリア湖岸にあるケニアのビタ岬の小学校に衛星受信機が導入された。この受信機は、ハードディスクに教科書をダウンロードする。そしてこの情報は、書籍閲覧のためのリナックスベースのシンプルなソフトウェアを備えた小型コンピュータへと伝送される。60名の生徒が現在の教材を受け取った。
 
 いまは Herren は、より大きな規模で彼の計画を実施しようとしている。チューリッヒの民間投資会社 Bridgeworks と協働して、彼は元金のため必要となる65万ドルの大半を既に工面している。Herren はこの資本で、衛星受信機と小型PCを売ってサービスするというビジネスのネットワークをアフリカ中に始めたいと望んでいる。国の文部省は、教育ダウンロードシステムを提供・維持するため――そして教材を提供するための子ども一人当たりのコストを20パーセント以上削減するため、これらの会社の一つを雇うことだろう。
 
 もし衛星による教材配信が望みどおりうまくいったならば、その基本システムは、遠隔の村に健康や農業の情報を提供することに使えるだろう。道路さえもない多くの村々で、文字通りすべての道が学校へ通じるようになる、と Herren は述べる。

 
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 僕の直感からすると、実際の本を送り届けるよりも、衛星通信と電子ブックをつかってデジタルデータを伝送する方が安上がりになるっていうのがとても意外です。日本の狭さにすっかり慣れているからそう感じるのかな。
 
 あと記事の最後で、教材以外の情報を伝送することについても触れられているけど、さらっと書いてあるわりに、これって実はものすごく重要なことじゃないかと思ったよ。たとえばエイズ予防とか、天候予測とか、教育以外の用途でもこの地域の人々の生活を劇的に向上できる可能性があると思う。この記事を読む限りでは、特に今は学校教育の用途のみを主に考えている印象を受けたけど、もっと早い段階から、幅広い分野での応用を考えた方がいいかもしれないと感じました。

【参考リンク】
・EduVision プロジェクト
 http://www.eduvision.or.ke/

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