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キツネの駆除法:育児放棄させよう

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 EP: end-point 経由、ABC Science online より。
 
 オーストラリアのフィリップ島は、ペンギンパレードで知られる有名な観光スポットです。
 魚を取りに出かけたフェアリーペンギンが、日没後に海から浜辺の巣へとぞろぞろと群れをなして帰ってくるのが見られるそうです。
 ですがこの島の悩みは、かつてイギリス人がレジャーのために持ち込んだキツネによる被害。普段からのんびりしているペンギンにとってキツネは天敵であるらしく、わずかの数のキツネでも非常に大きな被害をもたらすそうです。
 
 今回の記事は、キツネの駆除方法の一つとして提案されている、薬物をつかったやり方について。かんたんにいうと、動物の母性とかかわりがある、とあるホルモンを薬物で抑えることによって、育児を放棄してしまう母キツネをいっぱいにしよう、という試みです。
 
Drug turns foxy ladies into bad mothers
(薬はキツネのメスを悪い母にする)
 
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 メスのキツネに自分の子を無視させる薬が、オーストラリアの野生キツネの問題を解決する助けとなるかもしれない、と研究者たちは述べている。
 
 彼らは、繁殖力を減少させ母性本能を妨げるカベルゴリンという薬に着目し、ヴィクトリア州のフィリップ島のキツネを制御することができるかどうかを調べた。
 
 この島は有名なペンギンのコロニー(集団)の生息地であり、また150匹におよぶ望まざるキツネがいる。
 
 1匹のキツネは一晩で30匹ものペンギンを殺す、と語るのは、フィリップ島自然公園の生物学者 Roger Kirkwood である。
 
 「キツネたちを島から根絶する必要があります。わずか1匹でも、入り込んで大きな被害を及ぼし得るからです」と彼は言う。
 
 このキツネはまた、この島を訪れる渡り鳥のマトンバードも多く捕食すると Kirkwood は語る。
 
 彼は、カベルゴリンを調べるべく、タスマニア大学の薬理学者 Stuart McLean 教授とともに研究を行っている。
 
 人間では、この薬はパーキンソン病の治療に用いられる。
 
 しかしこの研究者らは、この薬をキツネに使うことに関心を持っている。キツネの脳のドーパミン受容体にはたらいて、プロラクチンというホルモンの分泌を妨害するためだ。
 
 「(キツネは)妊娠することや、妊娠状態を保つこと、母乳を出すことのほか、出産後は母性本能のために、プロラクチンに頼るのです」と McLean は語る。
 
 カベルゴリンは母性本能を抑制するため、メスのキツネは、食べ物を取ってきたり、毛づくろいをしたり、生き残る術を教えたりといった子の世話をやらないようになる。これにより子の生存する機会が減少するのだ。
 
 この薬はまだ島のキツネには試されていないが、予備研究が来月のオーストラリア保健医療研究大会で発表される。
 
 キツネの餌のカベルゴリンがどの位のあいだ残留するかに着目した研究も、Wildlife Research 誌に提出されている。
 
■ ペンギンへの被害
 
 キツネに繁殖を許して制御不能になったならば、キツネはフィリップ島の60000匹強の個体数のペンギンを滅ぼし得るだろうと Kirkwood は語る。
 
 キツネは過去80年のうちに、フィリップ島のペンギンのコロニーの数を12からわずか既に1までに減らしている。
 
 1980年にこの島に駆除プログラムが導入されて以来、1000匹以上のキツネが除去されている。このプログラムには射殺、毒殺、巣穴の燻蒸、犬による狩りが含まれる。
 
 キツネはわずか約5年しか生きないものの、個体数に弾力性がありすぐに回復するのだと Kirkwood は語る。
 
 「このプログラムをストップしたならば、この島のキツネの扶養能力は400そこらになるだろうと計算しています。これを制御しなければ、一定時間でキツネはペンギンを除去するでしょう。」

 
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 やっぱりいちばん気になるのは、カベルゴリンがキツネだけじゃなくペンギンの子育てにも悪影響を及ぼしたりしないのかな、というところですね。ばーっと見た感じ、プロラクチンは広くさまざまな動物に見られるホルモンだということなのでちょっと気になります。それでも、うまくキツネだけをうまく取り除ける方法が分かれば面白いなあ。

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