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考えすぎは判断ミスのもと(1)

 日経サイエンス
6月号経由、Science 2月17日号より。「考え過ぎはかえって良くない」という経験則は本当か? を確かめる実験が行われたそうです。

考える人
 オランダ・アムステルダム大学の Ap Dijksterhuis らは、次のような実験を行いました。彼らは80名の参加者を集め、仮想の4種類の車についての性能一覧を見せました。そしてその後で、その中からもっともよいと思うものを選んでもらいました。

 性能一覧というのは、たとえば燃費が良いか悪いか・トランクが大きいか小さいか・新しいか古いかといった、各項目ごとの良し悪しを記した情報のことです。下記の参考リンクに実験に用いた性能一覧へのリンクを記しておきますので、よければどうぞおためしを。4種類の車のうちの1つは、性能項目のうち75%を肯定的な評価に設定しました(残り25%は否定的)。2つは50%の項目が肯定的で、1つは25%の項目だけが肯定的でした。つまり、妥当に判断をするなら、1番目の車をもっとも良いと回答するのが正しい選択だとみなすことができます。

 被験者は2つのグループに分けられ、被験者の半分は、4分間かけて考えてから答えを選ぶように指示されました。もう半分は、4分間、文字の並べ替えパズルをやらせた後で、すぐさま答えを選んでもらいました。

 さて結果はどうだったか。性能一覧の項目数が少なかった場合(4項目)は、じっくり熟考したグループの方が正しい答えを選ぶ割合が高かったのに比べて、項目数が多かった場合(12項目)は、パズルの後でぱっと選んだグループの方が正答率が高いという結果が出ました。

 熟考することがときに良くない判断をしてしまうということをこの実験は示していると言えます。こうした現象には、過去の研究からもいくつか理由付けがなされていて、一つに、私たちが人間が意識に上らせることのできるものの数(キャパシテイ)が多くないため、複雑な決定をするときにはどうしても情報の一部分だけを対象に判断してしまうということが考えられています。あるいは、考え込んでいるうちに、各項目に不完全な重み付けをしてしまい、特定の項目を大きく評価してしまうという点についても指摘されています。


 なるほど。これは僕自身もよく経験することです。一部分の項目のことだけが気にかかって、全体的な視点での判断に失敗してしまうという経験とよくマッチしているなと感じます。あるいは、著名な研究者のインタビュー記事なんかを読んでいると、「分からない問題に出会ったとき、一晩置いて、翌日ぱっとした瞬間に解決が思いつくことがある」というようなことを言ってるのを目にすることがありますが、いったん自分の頭の中の情報に対する重み付けをクリアしてから考えることで良好な結果が得られる、ということになるのでしょうか。

 元記事をよく見てみると、項目数が多いケース(12項目)で、4分間かけて回答したグループの正答率があまりに低いという点が少し気になります。正確な数字は書かれてないですが、グラフを見る限り、正答率25%を切ってます。ランダムに答えるよりも悪い正答率ってどうなの。

 この記事はパート2に続きます。

【参考リンク】
元記事(On Making the Right Choice: The Deliberation-Without-Attention Effect )
 http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/311/5763/1005
実験に用いた車の性能一覧
 http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/311/5763/1005/DC1

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コメント (2)

M3:

■判断力よいうよりも記憶力のテストになっているような?
リンク先を見ると、サンプルのリストを見ながら考えても「正解」を得るのに4分間は短いような気がします。リストを見ながらpoor/goor/old/newの数を数えるだけでも大変(英語が苦手なだけか?)。さらに単にポジティブな属性の数の多いものがbest choiceという「正解」は納得いかないですね。

ところで実験方法は、ランダムな順序で文章を8秒間ずつ提示するとなっていますね。でも、それじゃ最後の6~7個しか記憶に残らないのじゃないかと思います。特に印象の深かった文章と、最後に提示された数個の文章で判断したのでは、いくら長時間考えても正解は覚束ないのではないでしょうか。


http://www.sciencemag.org/cgi/data/311/5763/1005/DC1/1
riverplus:

■正しい決定。
M3さん、こんにちは。
自分が被験者なら、項目ごとに○×表みたいなものを作って、それから4つを見比べるんだろうなあ・・というようなことを思っていたのですが、8秒ずつしか見られないんですね、読み落としていました。たぶんそんな状態のときって、考える時間が多ければ多いほど、記憶がごちゃごちゃになって、頭で○×がすり替わったりしてそうです。全部の情報を一覧で見せて判断させたときの結果を出してみたいなと思いました。
それと、性能表の○の数でもって最良とするのは僕も疑問に思います。たとえば燃費の良し悪しとカップホルダーのあるなしとを同じウェイトで評価するってのは、どう見ても理性的な判断とは言えないですよね。。


http://ameblo.jp/riverplus/

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