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種子に細菌をとじこめる

 経営予測エイジ12月号経由、日刊工業新聞11月22日付の記事より。

 植物については僕はちっとも予備知識はないのだけど、なんだかおもしろい発想だなあと感じ入った記事なので、ご紹介。

 種子に関するあたらしい技術について。

 

 近年、レタス農家の頭を悩ませている問題に、「ビッグベイン病」というウィルス性の病気があります。ビッグベイン(Vein=葉脈)という名から想像つくように、この病気に感染したレタスは、葉脈に沿った部分の緑色が薄くなり、葉脈が太く見えるようになります。この病気に感染したレタスは葉が巻かなくなってしまうため、商品としての価値が大きく下がってしまうそうです。

 

 この病気の対策としては、抵抗性のある品種を導入したり、農薬・土壌消毒を行ったりする方法のほか、「内生細菌」と呼ばれる微生物をつかう方法が考案されています。内生細菌とは、「植物に病気は起こさないが、感染・増殖することができ、植物の表面を殺菌したうえで分離できる細菌」のことです。いわば善玉菌の役割をもつ細菌。適切な内生細菌にレタスを感染させてやると、ビッグベイン病感染の媒介となるオルピディウム菌という細菌が内生細菌により殺菌され、感染を防御することができるそうです。

 

 ですが、この方法には「手間がかかる」というデメリットがあります。農場一帯に散布する方法や、根元に散布する方法が考えられるのですが、どれも手間がかかってしまいます。

 

 さて今回、近畿中国四国農業研究センター、兵庫県立農林水産技術総合センター、サカタのタネが公表した内容によると、こうした内生細菌を、生きたまま種子の中にコーティングする、「ライブコート」という技術が可能になったとのことです。ふつう、コーティングという技術は、そのままでは小さすぎて蒔くのが面倒な植物の種子の形をととのえたり、あるいは薬剤をコーティング材料に混ぜて発芽を促進させるといった目的のために使います。この技術を応用して、微生物をそのままコーティング材料に閉じ込めたのです。

 

 でも、普通に考えたら、「水分がないと死んでしまう細菌」と「水分があると発芽してしまう種子」を一緒にするなんてどう見たって矛盾しています。そこで、この技術では、減圧環境で細菌を種子に入れて、さらに低温・除湿の環境でゆっくりと乾燥させてやるそうです。こうすると、細菌の乾燥に対するストレスを減らし、生きたままコーティングすることが可能になるのだそうです。

 

 こうしてコーティングされた種子は、現状で約3ヶ月間の貯蔵が可能です。そして、この技術は、レタス以外にもさまざまな植物に対して応用できる可能性があり、かなり大規模な効果がのぞめるということです。

 

【参考リンク】

サカタのタネ ニュースリリース:

http://www.sakataseed.co.jp/hotnews/2005/051121.html