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野球と緊急治療室の妙な関係

 New Scientist より、野球と緊急治療の関係について。

 海外のサッカーの試合では、視聴者がヒートアップしてフーリガン状態となり、多数のケガ人が出たりする、ということをよく聞きますね。ですがボストン市の野球のゲームでは、これと正反対の現象が起きているようです。

 

Visits to ER plummet during key baseball games

(重要な野球のゲームの間は緊急治療室の患者数は減る)

http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn8052

 

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 地元の医師チームによると、ボストン市内の病院のER(緊急治療室)へ運ばれる患者の数が、同市のハラハラさせるスポーツ中継の間は減少したという。

 

 このチームによると、視聴者の多くを魅了するボストン・レッドソックスの試合中は、患者数は平均の8割にまで減少したという。しかし、ERへ運ばれる患者の数は、視聴者数が少ない試合の際は、平均を上回ったという。

 

 「この驚くべき発見は直線関係にありました。」と語るのは、このチームの中心となっている、アメリカマサチューセッツ州、ボストン小児病院の John Brownstein 氏である。

 

 研究者たちは、ボストン市内の6箇所の救急科で、2004年の11の主要な野球の試合中の患者数と、その日の平均的な患者数、そして前年の同時期の患者数を比較し、試合の視聴者数に対してこれらをプロットした。

 

■ レッドソックスの勝利

 

 レッドソックスが勝てば米国ワールドシリーズへ参加できる、対ニューヨーク・ヤンキースの試合は、ボストン市内広域では55%の人々が視聴していた。そして同時に、ERの患者数は15%低下した。

 

 しかし、ソックスが当然負けると思われていた別の対ヤンキース戦では、視聴者はわずか30%で、ERの患者数は平均を15%上回っていた。

 

 「もし何か影響があるとすれば野球だろうという予感がしていた。」と Brownstein 氏は語る。昨年、ソックスは1918年以来初めて優勝したため、2004年のワールドシリーズはボストンにとって非常に重要な出来事となり、また、研究にとっても理想的なケースとなった。

 

 一つには、この驚くべき相関関係は、人々はテレビを見ている間は、動かず、かなり安全な状態にあると説明することができる。「人々は家で野球を見ており、事故に巻き込まれることはないのだろう。」と Brownstein 氏は説明する。

 

■ 非緊急事態

 

 もう一つには、緊急治療室に運ばれる人々は本当の意味での医療緊急時にあるのではない、という説明もできる。「明らかに、このタイミングを説明する裁量的な要素があります。」と、共著者である、ハーバード大学医学部の Kenneth Mandl 氏は語る。

 

 彼は、これは必ずしも人々がシステムを乱用しているということではないと強調する。一般開業医は夜間や週末は開業していないし、また何らかの状況では、数日はむりでも2時間ぐらいなら治療を受けるのを後伸ばしすることもできる。「人々が銃による負傷をしていない、というわけではないのです。」と Brownstein 氏は語る。

 

 中には、緊急治療室が治療を受けるための唯一の方法である人もいる。「この国では多くの人々が保険に入っていないのです。」と、共著者のボストン小児病院の Ben Reis 氏は語る。「時に、治療を受ける唯一の方法が、ERとなるのです。」

 

 2つの要因を分離するため、交通事故に対するフットボールの試合の影響を研究していたカナダ・トロントのサニーブルック&ウィメンズカレッジ保健科学センターの Donald Redelmeier 氏は、なぜ人々が異なる時間にERに入るかというデータを、この研究者たちは示していると述べている。

 

■ ダイハードなファンたち

 

 1994年の研究では、フットボールの試合がある日はERの患者数が減少しているように見えることがわかっていたが、試合の時間を特定し、その時間の実際の患者数を比較したのは、Brownstein 氏のチームが初めてである。

 

 しかし、レッドソックスファンを自認するこの研究者たちは、3つ目の要因、つまり、レッドソックスファンはとりわけ頑丈なのだろうということも述べている。「ぜひ、他の都市の科学者たちには、そこのファンもレッドソックスファンと同じように、ダイハード(丈夫でしぶとい)だと示す創造的な方法を見つけ出してほしいものです。」と Brownstein 氏は語る。

 

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 思わぬところにそんな関係があったとは、話のネタとしてかなり面白いですね。こういう現象は、ついついひとつめの理由(みんなが家でおとなしくテレビ観戦してる)だけに決め付けて考えてしまいがちですが、この研究ではその他の可能性についても触れられていて良いと思います。

 

 とはいえ、それなりの治療が必要なぐらいのケガや発病をしておきながら、ガマンして野球を観戦しつづけるというのは、僕にはどうも想像できないですねえ。。3つめの理由ともども、近くの熱烈な野球ファンを観察して確かめたいところです。笑

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