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CO2が増えても木は大きくならない

 なかなか面白いニュースがあったので紹介。Scientific American より。

  

 植物は呼吸をしていますが、同時に、太陽の光をもとに光合成を行っています。光合成によって、植物は二酸化炭素を吸収し、酸素を吐き出します。だから、地球から植物がへると、それだけ二酸化炭素を吸収できる量が減ってしまいます。・・・というような話を、学校の理科の時間に聞いたことがあるかと思います。そのときに、何となくこう思った人がいるんじゃないでしょうか。「二酸化炭素が増えたら、それだけ光合成のための材料が多くなるんだから、木は二酸化炭素をいっぱい吸収して、でっかく育つんじゃないの?」 今回、この疑問についての研究の結果が発表されたそうです。

 

 

 Researchers Find That Carbon Dioxide Does Not Boost Forest Growth

 (二酸化炭素は森林の成長を促進しない)

 http://www.sciam.com/article.cfm?chanID=sa003&articleID=0001EBF2-3025-130E-B02583414B7F0000

 

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 過去1世紀にわたって、強い温室効果ガスである二酸化炭素の大気中の度合いが増加してきた。特に木のような地上の植物が、この変化に対しどのように反応するかについてはこれまで未解明なままだった。しかし、研究者たちの中には、二酸化炭素の濃度の上昇により、植物の成長が促進されるため、より多くの二酸化炭素を植物にたくわることができ、それによって大気中の二酸化炭素の増加をある程度おさえることができるだろうと考えている人がいる。今回、Science 誌に掲載された報告では、この主張に対する異議が唱えられている。スイスの森林の4年間にわたる研究により、二酸化炭素が増えたところで木の成長は促進されないということが分かった。

 

 バーゼル大学の Christian Korner が率いる研究チームは、500平方メートルにわたる落葉樹林の区画に、過度の二酸化炭素を4年間にわたってふきつけた。この区画の成木は、6ヶ月間の成長期のあいだ、1日につき2トンもの追加の二酸化炭素の中にさらされ、これにより、現在の大気中よりもおよそ50%多い炭酸ガスにふれることとなった。全体的にみて、木々は二酸化炭素を循環させ、空気中へのガスの再放出のスピードは速くなったものの、研究期間のあいだ、幹の成長や葉の生産に増加はみられなかった。これにより、過度の二酸化炭素に対して、すべての種が同じように反応するわけでないことが分かり、単一種に注目していた初期の研究には不備があることが明らかになった。

 

 この実験の立案者たちが述べるには、今回の新たな実験はまだまだ難点があり、そのためにこれは「現実と正確さとの間の妥協」とならざるを得ない。ひとつには、二酸化炭素の増加の影響を十分に理解するには、時間スケールがまだまだ短すぎる。(過度の二酸化炭素によって)地下の根組織が成長し、土壌の炭素をたくわえているという可能性だってある。将来的な研究では、今回の新たな結果が、ほかの品種のうち針葉樹や熱帯の木々についても当てはまるかどうかを確かめる必要があるだろう。

 

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 なんとなく感じるのは、なにか別の原因が成長のボトルネックになっていたという可能性ですね。日差しが十分でなかった? 地中の水分が十分でなかった? などの理由で、成長するための十分な栄養を得られなかったのかなと感じます。僕の前提知識・読解力およびこの記事の記述では分からないところが多いので、どうも考えづらいですが。

 

・ 区画内のすべての植物種で同じ結果だったのか?

・ 空気中の酸素の量は同じだったのか?

・ けっきょく、木々の二酸化炭素の吸収量は増えていたのか?

 

 興味のある方は、リンク先の関連リンクもぜひどうぞ。

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コメント (4)

orino:

■興味深い内容ですね
織野です。こんにちは。

興味深い内容ですね。

動物の消化系統と単純に比較できませんが、特定の栄養のみ大量に摂取しても、動物の生育に寄与しないと考えます。

植物も、二酸化炭素のみ大量に供給しても、水や日射が通常量であれば、成長は期待できないのではと思いました。


後続の研究があれば、知りたいですね。

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http://ameblo.jp/orino/
riverplus:

■どうぞよろしくです
こんにちは。
環境からうける影響があまりに多岐にわたっていると、1つの要因をかえて実験してみたところで、それがそのまま木の成長に反映されるとは限らないのだろうなあと感じます。もしかすると、ある程度の環境の変化には柔軟に対処できるしくみになってる可能性もありそうですね。
なにかヒントがみつかったら、ぜひ僕のほうにも教えてください。


http://ameblo.jp/riverplus/
なかつみ:

■無題
http://www.sciencemag.org/cgi/reprint/309/5739/1360.pdf
↑これやな。

すげー大変な実験だよねー。
これだけやるのにどれだけの労力と金か・・ってのを想像してしまいますww
でもまず4年間じゃあなかなか落葉樹の成長をスキャンするのは難しいよねー。

おそらく自然界にはこのような変化をBufferingするようなシステムが存在するとは思うのですが(たとえば水に溶けていったりとか)、実際の空気中のCO2濃度は変わってきてるってことは、そのBufferingも効かないくらいCO2が増えてるってことなのかな。

riverplus:

■元記事ありがとうです^^
こんにちは、元論文の紹介ありがとうございます。大学の友人経由で入手できまし・・いや、何でもないです(笑)。
ちょっと検索した限りの情報ですが、今よりも50%増のCO2濃度ってのは、産業革命→現在で30%増加、という過去の規模と比べると、ものすごく高い濃度のようですね。


http://ameblo.jp/riverplus/

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