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コンピュータ分析で明らかになるキープ文字

 New Scientist より、素敵なニュース。

 

 Computer analysis provides Incan string theory

 (コンピュータ分析で明らかになるインカのひもの理論)

 http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7835

 

 古代インカ帝国のキープという文字は、縄に結び目を作ることで何らかの情報を表すのに使われており、これまで長らく解読不能とされていたそうです。今回、コンピュータを使った解析により、このキープ文字にひそむある特徴が解明されたそうです。


 例によって以下に翻訳。

 

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 古代インカの行政官が使用していた、ひもを使った不可解なコミュニケーションシステムの謎が、数百の様々な結び目のついた束をコンピューター分析することによってついに解明されようとしている。

 

 この発見により、アンデスの帝国の官僚政治が興味深くも垣間見え、ひもで書かれたインカの言葉が初めて解明されることになるかもしれない。

 

 綿や、ラマやアルパカの毛で編まれているこの謎のひもの束は、キープとして知られている。数千の補助的なひもがぶら下がった一本のより糸からできていて、ずらっと並んだ結び目が特徴である。発見されている600程度のキープのうち、大半は西暦1400年から1500年の間にさかのぼるものである。しかし若干のものは約1000年前のものであると考えられている。

 

 スペインの植民地の資料によると、キープは記録を保持しメッセージを伝達するのに何らかの方法で使われたようだ。しかし、これらのひもを使ってどのようにして有用な情報が伝達されたかは、多くの専門家を悩ませてきた。

 

結び目を解きほどく

 

 今回、アメリカ・マサチューセッツ州ハーバード大学の人類学者 Gary Urton と数学者 Carrie Brezine は、この結び目の暗号の解明に取りかかれたかもしれないと考えている。2人は、補助的なひもの数や位置、そして結び目の数や位置といった、キープのひもについてキーとなる情報を含んだ、探索可能なデータベースを構築した。

 

 2人は、現在のペルーのリマ付近にあるプルチュコ(インカの主要な行政拠点)で1956年に発見された21本のキープについて、このデータベースを用いてこれらの間の類似点を探索した。表面上の類似点から、キープにはつながりがあることが示唆されていたが、データベースにより次のような重要な数学的つながりのあることが明らかになった――何本かのキープ上の補助的なひもが表すデータを組み合わせると、より複雑なキープで見つかっているひもが得られるというのだ。

 

 このことから、キープは、5500キロメートル以上にわたり広がっていた帝国の様々な場所からの情報を照合するのに使われていたものと考えられる。Brezine は数学のソフトウェアパッケージの Mathematica を使ってデータベースを洗い出し、その他にも数学的つながりを探した。結果、いくつかのことが分かった。

 

最初の言葉

 

 「地方の会計士は、終わった仕事の情報を、上位の職階級へと転送していたのでしょう。連続した階級では、それぞれ下位の階級からの会計の総和をあらわす情報を転送していたのです。」と Urton は述べている。「このコミュニケーションを使って、ときには会計報告だったり、その他にも、人口・財政・軍隊といった、国にとって重要な情報を記録していたのです。」

 

 Urton と Brezine はさらに一歩踏み込んでいる。プルチュコのひもが、異なる地域のデータの照合を表しているとすると、21本のプルチュコのひもの全てで見つかっている、8の字の形の結び目は、場所そのものを表しているのかもしれない。もしそうだとすれば、これはインカのキープからこれまでに引き出された最初の言葉ということになるだろう。

 

 キープを完全に解読することはおそらく不可能でしょう、と Urton は述べている。しかし、キープのデータベースをさらに解析することにより、他にも生活の詳細が明らかとなるでしょう。新たな考古学上の発見は、また大きな驚きを投げかけてくれるのです、と Urton は New Scientist 誌に述べてくれた。

 

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 今回のように、人類学者と数学者とのタッグで行われる研究ってのは、すごく面白い感じがしますね。いったい普段は、2人の間でどんな議論が行われているんだろう、といろいろと想像してしまいます。現在キープ文字がどこまで解読されているのか知らないので完全な憶測ですが、今回の結果からさらに、どの結び目が何の数字を意味するか、というような情報がさらに得られることになればいいなあ、と感じます。

 

 なお、今回のニュースは Science Magazine
でも日本語記事が取り上げられてました。

 http://www.sciencemag.jp/highlights/20050812/

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