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「子に会いたくない」続々 人工授精で精子提供の「父」

 アサヒコムの記事より。

 

http://www.asahi.com/life/update/0523/001.html

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 第三者の精子を使った人工授精(AID)で、精子を提供した人の多くは「生まれた子どもが遺伝的な父親を知りたいと考えるのは人情」と認めつつも「会いたいとは思わない」と考えている。精子提供者を対象に、厚生労働省の研究班が実施した初めての調査で、そんな意識が浮き彫りになった。生まれた子どもの「出自を知る権利」の扱いが課題となっているが、精子提供者には強い戸惑いがあるようだ。


 AIDは国内では50年以上の歴史があり、すでに1万数千人以上が生まれたと推計されている。国内の精子提供者はすべて匿名。調査は慶応大学病院で98~04年に精子を提供した120人を対象に実施し、32人から回答を得た。


 遺伝的な父親を知りたいと思っている子どもたちがいることについては、67%が「そう思うのは人情で仕方がない」、18%が「当然の権利だ」と答え、理解を示した。


 その一方で、匿名が条件でも「会いたいと思わない」が88%に上った。「子どもが会いに来る可能性があるとしたら提供しなかったか」という質問には67%が「しなかった」と回答。「自分の生活や家庭が脅かされる」「子どもに何らかの責任を取らなければならないと感じる」などを理由に挙げた。


 厚労省の審議会は03年、第三者から精子や卵子、受精卵の提供を受けて生まれた子どもが15歳になった場合、遺伝上の親を特定できるとする報告書をまとめた。国はこの報告書を基に法案を提出する方針だったが、棚上げ状態が続いている。一方でAIDで生まれた子どもたちが、遺伝上の親を探す動きが広がっている。


(以下略)



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 以下、思ったこと、気づいたことを箇条書きで。

1.

 まず、現時点ですでに1万数千人以上もの子どもが人工授精で誕生しているということに驚き。

 しかも50年以上の歴史があるという事実も、ちっとも知らなかったです。不勉強。

2.

 これだけの歴史があって、多くの実施がなされているにも関わらず、父(精子提供者)と子との将来の関係についての議論が、いまなお発展途上の状態にあるというのはとても意外です。

 非配偶者間人工授精(AID)を法律として認めていく過程で、さまざまな議論が重ねられたこととは思うのですが、今回注目されている「子どもの出自を知る権利」については、当時はまだ十分には認識されてなかったということなのでしょうか。

 だとすれば、現段階での議論の成熟ぐあいと比較して、すでに誕生している1万数千人以上という数は、あまりに多すぎるように思えるのです。

 これが人工授精技術の先走りとみなされないかどうか、疑問に感じるところです。

3.

 以降は、野暮かもしれない突っ込み。

 今回の調査は、「120人を対象に実施し、32人から回答を得た」そうです。

 回答率の低さはさておき、たかだか32人分のデータしかない調査の結果に、百分率を使うというのはいかがなのかと。

 百分率は、母集団の数がせめて100人を超えてから使ったほうがよいと思います。

 

4.

 ・・・と思ってたら、とんでもないことに気づきました。

 記事によると、32人から回答を得たうち、67%が「子どもが会いに来る可能性があるとしたら提供しなかった」と回答したそうですが。

 32人の67%って、何人なんですか?

 何気なく読んでると、「ふーんだいたい3分の2なんだー」と流してしまいがちですが。

 32人のうち、もし21人が該当したのなら、その率は 21/32 ≒ 65.6%。

 22人が該当したのなら、22/32 ≒ 68.8% です。どこを四捨五入したって67%にはなりません。

 記事中の18%という数字も同様。

 なんだか、ちょっとあやしげな調査である可能性が高くなってきました;

 

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コメント (2)

綺麗山:

■統計
面白いデータですね。日本ではこういう議論はあまり盛んでは内容に感じます。
ところで統計の話。これは回答を得た32人の中でも使用できないデータを除いたのではないかな。32人全てが全問に回答しているとは限らないし。統計の時間にmissing dataの処理の仕方を習った記憶があります。該当する日本語は知らないけれど。
そう考えると設問ごとに母数が変わるよりも百分率を使った方が分かりやすかったのかもしれないね。


http://psychnote.blog11.fc2.com/
riverplus:

■なっとく、そうですね
なるほど、そうですね。各設問で母数から無回答の数を除いてると考えればおかしくないのですね。
とするとこの場合は、百分率よりも「~割」の表現の方がよりよいかなあと感じました。


http://riverplus.ameblo.jp

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