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聖ペテルスブルグのパラドックス(1)

 以前、1月29日の日記で、聖ペテルスブルグのパラドックスを紹介しました。

 この問題に関して、グーグルでいろいろと検索してみました。
 Stanford Encyclopedia of Philosophyこのページで、非常に詳しい解説が載っていることを発見しました。
 ですが、日本語での記事となると、なかなかどうも見当たりません。
 問題の簡単な紹介・説明をしているページや、ファイナンス理論の話題の一つとして軽く触れているページはいくつかあるのですが、上記のページのような、この問題に限定して深く論じたものとなると、どうも英語のページ限定となってしまうようです。

 というわけで、よし、せっかくだし訳してみようか、と思い立ってしまいました。
 
 自分の考えをまとめるのは後回しにして、ただひたすら、粛々と訳し続ける。
 自分の英語能力の無さに、すっかり辟易しながらの作業です。
 ひとまず、前章と第1章の訳を、以下に掲載。
 誤訳・珍訳は覚悟の上。


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聖ペテルスブルグのパラドックス

前章

 聖ペテルスブルグのゲームは、一枚の適正なコインを、裏が出るまで投げることによって行われる。賞金は、コインを投げた回数nによって決まり、それは2^nドルに等しい。だから、もし1回目にコインの裏が出たなら、賞金は2^1=2ドルとなり、ゲームは終了である。もし1回目に表が出たなら、もう一度コインを投げる。2回目に裏が出たなら、賞金は2^2=4ドルとなり、ゲームは終了である。表だったらもう一度投げる。後はこの繰り返しである。起こり得る「結果」(表表・・・表表裏)の数は無限にある。コインを投げた回数がn回という結果の確率(「P(n)」とする)は、1を2^nで割ったものであり、それぞれの結果の「期待利得」は、賞金に、その確率をかけたものになる。以下の表は、n=1...10の結果に対する数字を示している。

n 確率    賞金  期待利得
1 1/2    $2    $1
2 1/4    $4    $1
3 1/8    $8    $1
4 1/16    $16   $1
5 1/32    $32   $1
6 1/64    $64   $1
7 1/128   $128   $1
8 1/256   $256   $1
9 1/512   $512   $1
10 1/1024 $1024  $1

このゲームの「期待値」は、全ての結果の期待利得の合計になる。起こり得る各結果の期待利得は1ドルであり、それらは無限にあるのだから、この合計は無限ドルになる。理性的なギャンブラーなら、期待値よりもゲームの参加費の方が小さければ、ゲームに参加する。この聖ペテルスブルグのゲームでは、参加費が有限であるなら、いくらであってもそれはゲームの期待値より小さい。したがって、理性的なギャンブラーなら、参加費がどれだけ大きくともゲームに参加をする。しかし、明らかに、そのような参加料は高すぎて、理性的な人にとって支払えない。多くの解説者は、Hacking(1980)の見積もりに同意している。「ゲームの参加料が25ドルだったとしても、ほとんどの人は支払わないであろう。」 もしこれが正しいのなら、上記の標準的な決定理論の期待値計算に、どこか誤りがあることになる。スイスの18世紀の数学者 Daniel Bernoulli(1738; 英語には1954年に翻訳) によって発見されたこの問題を、聖ペテルスブルグのパラドックスという。

第1章 限界逓減効用
第2章 リスク回避
第3章 効用の上限
第4章 有限個の結果
第5章 無限大の値?
第6章 理論と実践


1.限界逓減効用

 Bernoulli はこの問題に答えるために、次のような観察をした。計算の誤りは、期待されるドルの利得を足していることによって生じているのであり、正しくは、各結果の期待効用を足すべきである。概略を言うと、彼は、金銭には限界逓減効用がある、という広く受け入れられる原理を提案し、金銭の効用の現実的尺度は、金銭の量の対数によって与えられるだろうと主張した。(効用)=log(ドル)とするならば、この賭けの表のはじめの数行は、次のようになる。

n 確率    賞金  効用  期待効用
1 1/2    $2   0.301 0.1505
2 1/4    $4   0.602 0.1505
3 1/8    $8   0.903 0.1129
4 1/16    $16  1.204 0.0753
5 1/32    $32  1.505 0.0470
6 1/64    $64  1.806 0.0282
7 1/128   $128  2.107 0.0165
8 1/256   $256  2.408 0.0094
9 1/512   $512  2.709 0.0053
10 1/1024 $1024 3.010 0.0029

期待効用の和は無限大とはならない。およそ 0.60206 の効用で極限に達する(これは4ドルの価値に相当する)。理性的なギャンブラーなら、4ドル以下の参加料で、賭けに参加するだろう。

 しかしながら、パラドックスへのこのような回答は、不十分である。限界効用逓減を認め、そして、(議論のため、)ドルの対数をとることがドルの効用の妥当な計算法であると認めよう。すると、提案されたように、聖ペテルスブルグのゲームはパラドックスを示さない。しかし、ただ賞金を変えるだけで、容易に、パラドックス持つ聖ペテルスブルグのゲームを作り上げることができる。例えば、n回続いたときに2^nドル支払われるのでなく、10を2^n乗した金額のドルを賞金にしてみよう。このゲームの表は次のようになる。

n 確率    賞金    効用 期待効用
1 1/2    $10^2   2  1
2 1/4    $10^4   4  1
3 1/8    $10^8   8  1
4 1/16    $10^16  16  1
5 1/32    $10^32  32  1
6 1/64    $10^64  64  1
7 1/128   $10^128  128  1
8 1/256   $10^256  256  1
9 1/512   $10^512  512  1
10 1/1024 $10^1024 1024 1

 このバージョンでは、もともとのバージョンよりもずっと大きな賞金を含んでいる。そしてギャンブラーは、推定されるように、もともとのバージョンよりも多くの参加料を、このバージョンでは支払おうとするだろう。しかし、このゲームの期待値(最右列の無限級数の和)は無限大となり、パラドックスが再び発生する。

 もちろん、実際どのようにドルが効用と関連付けされるかは明確ではないが、一般化された、パラドックスを含む聖ペテルスブルグのゲームを次のように考えることができる(Paul Weirich(1984)、Menger(1967))。効用が、ドルまたは他の財貨にどのように変換されようとも、コイン投げがn回続いたときに2^nの効用に相当する賞金を与えることにする。このゲームは無限大の期待値を持つことになり、理性的なギャンブラーは、参加料がどれだけ高額であっても支払うべきである。ここでは話を簡単にするため、この一般化されたバージョンのゲームを無視することにし、もともとのドルの賞金のバージョンについて議論を続ける。しかしながら、ドルの限界逓減効用により、パラドックスを発生させるためには賞金を見直す必要がある、ということは認識しておく。

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 ここまでの内容は、日本語のページでも比較的いろいろな場所で見受けることができるようです。
 問題は、第2章以降ですね。。。
 2章の2/3ほどを粗く訳してみたのですが、読んでてさっぱり分かる気がしません;
 忍耐が続いたら、いつか続きを掲載です。

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コメント (4)

六法亭:

■おもしろいですね
食い入るように
読んでしまいました(^^)
riverさんの英語力もすごいです!

riverplus:

■いやもうすみません;
軽い気持ちで翻訳の世界に踏み込んで、痛い目に遭ってしまいました;
がんばっていつか続きを・・・!

asahishinbun:

■尊敬。。
あいかわらず読もうとしてもさっぱりわかんないデス。。riverplusさんにも、「食い入るように読んでる」方にも、
尊敬の眼差しを。。
なんでそんなにアタマいいんですか?
思わず自分のブログでふれちゃいました。勝手にゴメンナサイ。


http://asahishinbun.ameblo.jp/
riverplus:

■おそれ多いことですm--m
日本語で読んで、すっと意味が通じるようにうまく訳せたらよかったのですが、やはりそうは問屋が卸さなかったようです。。

詳しい人が見て、「おいおいぜんぜん意味が違ってるよ」と突っ込まれないか、どきどきし放しです^^;

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