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サイコロの確率と格闘する ~5の倍数編~ (3)

 前回、前々回と、「n個のサイコロを投げて出た目の和が5の倍数になる確率」を求めるべく、奮闘しています。

 日曜日の午後をまるまる使って、やっと答を出すことができました。
 
 答えを先に書きます。
 n個のサイコロを投げて、目の和が5の倍数になる確率 x0(n) は、
 
x0(n) = (1/5) + (2/5)×(1/6)×(cos(2πn/5)+cos(4πn/5))
 
 です。あるいは、
 
x0(n) = { (1/5) + (4/5)×(1/6) (nが5で割り切れるとき)
      { (1/5) - (1/5)×(1/6) (上以外のとき)

 と書いても同じです。
 後者の方が分かりやすいですかね。
 
-------------------------------------------------
 
 以下、上記の結果の導出法。(前回からの続き。)
 
 行列A(参照)の固有値を λ 、対応する固有ベクトルを とすると( j は0~4)(参照)、固有値・固有ベクトルの定義より、

 j(n) = λjj(n-1)
 
 とできる。
 つまり、数列 {j(n)} を、初項 j(1) 、公比 λj の等比数列と見なせる。
 したがって、
 
 j(n) = (j(1)) × λjn-1
 
 前回の結果を使って、右辺の部分を計算すると、
 
 (n) = 1
 (n) = (1/6) × exp(2πin/5)
 (n) = (1/6) × exp(4πin/5)   ... (*)
 (n) = (1/6) × exp(-4πin/5)
 (n) = (1/6) × exp(-2πin/5)
 
 上の式の左辺は、ベクトル形式でまとめて書くと、次の行列
 
    |1,       1,       1,       1,       1 |
    |1, exp( 2πi/5), exp( 4πi/5), exp(-4πi/5), exp(-2πi/5) |
P = |1, exp( 4πi/5), exp(-2πi/5), exp( 2πi/5), exp(-4πi/5) |
    |1, exp(-4πi/5), exp( 2πi/5), exp(-2πi/5), exp( 4πi/5) |
    |1, exp(-2πi/5), exp(-4πi/5), exp( 4πi/5), exp( 2πi/5) |
 
 を使って、 P・(n) と書ける。ここで、

           |1,       1,       1,       1,       1 |
           |1, exp(-2πi/5), exp(-4πi/5), exp( 4πi/5), exp( 2πi/5) |
-1 = (1/5)×|1, exp(-4πi/5), exp( 2πi/5), exp(-2πi/5), exp( 4πi/5) |
           |1, exp( 4πi/5), exp(-2πi/5), exp( 2πi/5), exp(-4πi/5) |
           |1, exp( 2πi/5), exp( 4πi/5), exp(-4πi/5), exp(-2πi/5) |

 だから、この P-1 を、ベクトル形式でまとめた(*)式に左から作用させて、(n) を得ることができる。
 第1成分(x0(n))が目的の確率。
 
 x0(n) = (1/5) + (1/5)×(1/6)×(exp(2πin/5)+exp(4πin/5)+exp(-4πin/5)+exp(-2πin/5))
 
 これを整理して、
 
 x0(n) = (1/5) + (2/5)×(1/6)×(cos(2πn/5)+cos(4πn/5))

 を得る。
 
-------------------------------------------------

 出来上がったときは、本当に身体の力が抜けていく感じがしました。
 あー、やっとできた、というような。
 あっさり書いてますが、P-1 の導出あたりでものすごく苦労してます。
 大学のときの数学の知識がけっこう頭から抜けてしまっているので、過程に誤りを含む可能性が非常に高いです。(結果は合ってると思いますが。。。)

 ・・・さて、一般形の場合はどうしましょう。
 やる気が起きれば、また次回。

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コメント (4)

マスオ:

■出題元です(笑)
はじめまして。「4の倍数」の出題元です。
逆アクセスでたどり着きました。
5の倍数、できたのですか!すごいですね。お疲れ様でした。
高校生をターゲットにしているウチの趣旨から激しく逸脱することも手伝って、
私は5次の正方行列を見た瞬間降参してしまいました。

私が一般化を断念したもう1つの理由は、
例えば25で割り切れる確率となると
5個まではずっと0、
6個以上で初めて0でない確率が出現することに気づいたからです。

たとえ規則的に0と1/6が並ぶ行列であっても、
こんなのを場合わけ無しで表現するのは厳しいなあと思い断念です。(根性無し)

やる気をそぐようなコメントで申し訳ありません・・・

何はともあれ、私が何気なく作ったこの問題、いろんなところで物議をかもしているようで、嬉しい限りです。


http://www.kjps.net/user/kakuritsu/
riverplus:

■これはびっくり!
 おおっとびっくり、問題引用元サイトの方がご覧になっていましたか^^;
 どうもはじめましてです。
 つたない説明文を読ませてしまったかと思うと、なんとも恐れ多い気持ちです。
 
 今回の5の倍数の問題、答えを出せたという喜びももちろん大きいのですが、最終的に得られた答えが、
 
x_0(n) = (1/5) + (2/5)×(1/6)^n×(cos(2πn/5)+cos(4πn/5))

という形でも書けて、

x_0(n)={(1/5)+(4/5)×(1/6)^n(nが5で割り切れるとき)
     {(1/5)-(1/5)×(1/6)^n(上以外のとき)

という形でも書ける、というところにもたいへん驚きを感じています。
 つまり、一見、場合分けをしないと書き下せなさそうな式であっても、前者のような書き方によって、1行でまとめて書けてしまう可能性がある、ということですね。

 ですから、想像ですが、
 たとえば25の倍数の確率のように、どう見ても場合分けが必要な問題であっても、正方行列の固有値・固有ベクトルの計算という機械的な計算で、シンプルに1行で答えを記述!なんてことがひょっとしてたらできるのかなあ、と期待しています。

 ひとまず、機械の力を大きく借りつつ、8、9の倍数の場合も引き続き考えてみたいです。

マスオ:

■さらに想像を膨らませると・・・
今更気づいたのですが、
k=7までは、nを無限大にしたときの極限値は、1/kであることが証明できたことになるのですね。
(よくよく考えればこれは証明するまでもない当たり前のことなのですが・・・)
なので、kで割り切れる確率が1行で書ききれるのだとしたら、1/k+f(n)
の形で書け、f(n)は必ず0に収束するのでは、との予想もできると思います。

私は現在他にやりたいことがありまして、私のサイトでこの問題を手がけるには時間がかかりそうですが、こちらはこまめに見させていただきます。
気が向いたら手計算で攻める方法も考えてみたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。


http://www.kjps.net/user/kakuritsu
riverplus:

■ありがとうございます
 1/k に収束というのは、直観的にはやはり間違いないところですよねえ。
「本当に?なんで?」と深く突っ込まれてしまうと、言葉に詰まってしまうのですが^^;

 時間と気力のあるときにのんびりと計算しているゆえ、次の進展がいつになるかは未定ですが^^;、よろしければどうぞまたご覧下さいませ

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