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宝くじ:伊で破産者や一家心中など悲惨な事件相次ぐ(1)

 「毎日インタラクティブ」の記事より。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050124k0000e040018000c.html

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 イタリアで「ロット」と呼ばれる数字選択式の宝くじをめぐり、破産者や自殺者が相次いでいる。20カ月近く出ていない「53」という数字を狙い、大金をつぎ込む人が続出しているためで、国民のロトへの熱狂ぶりは社会問題化している。

 ロットは1から90までの数字を最大五つ選ぶ賭け事で、11倍から最大9700万倍の当選払戻金が見込まれ、国内10都市で毎週2回、それぞれ抽選を行っている。このうちベネチアで「53」が03年5月以来、178回の抽選で出ていないことから、「次こそ53」という予想とうわさが全国に一気に広まり、賭ける人が急増した。

(中略)

 専門の精神療法学者は「『中毒者』の半数以上は女性で、老人のほか若い世代にも増加傾向が見られる」と指摘。一部の消費者団体は、政府に対し「しばらく『53』を賭けの対象番号から外すべきだ」と訴え始めている。
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 ひとまず、この記事の最後に登場している消費者団体は、「53」を賭けの対象番号から外すべきだ、と訴えるよりも、むしろ、自国民に確率の初歩の知識を教えて回るべきだ、と訴えた方が良いような気がします。

 おそらく、この手の誤解の原因は、「次こそ53が出やすい」という錯覚と、期待値の大きさに目が眩んで思考停止してしまうことにあるような気がします。

 ちなみに、ロットくじで、何かの数字が178回連続して一度も出ない確率は、
  90 × ( 85/90 )^178 = 0.00343... ≒ 0.34%
 になります。(計算に誤りのある可能性あり;)
 (追記:やっぱり少し計算違うっぽい。本当はこれより若干小さいはず。)

 この 0.34% という数字は、たしかにそれなりに低いように見えますが。
 あくまでこの数字は、「ある特定の178回の試行」についての確率だということに注意しないといけません。
 これまで長い期間ロットが行われてきたことや、あるいはロットを開催している国が世界中にいくつもあることからも考えると、今回の状況が極めて不思議な現象である、とは決して言えないと思います。

 極端な話し、次の二つの状況:
A:「53」が20ヶ月出ていない状況
B:「53」がつい昨日の抽選で出た状況
で、次の抽選に53が登場する確率は、どちらも 5/90 で違わないはずです。

 この社会問題にまでなっている現象を改善するには、例えば、テレビ局に依頼して簡単な実験を放送してもらうとかすれば面白いんじゃないかと思います。
 単純なコイン投げを何回も行う実験をやってみて、ほら、10回続けて表が出た場合と、そうでない場合とで、次にコインが裏になる確率はどちらも変わらないんですよ、と。
 次のロットで53を選ぶというのは、期待値が違うというだけで、当選する確率そのものは変わらないんですよ、次こそ53が出やすい、なんてのは大きな誤解ですよ、と諭してくれるような番組です。

 本当は、確率の期待値にかかわるパラドックスの話でもと思っていたのですが、こちらの話で時間がかかってしまったので、それはそのうち。

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コメント (2)

say:

■なんかすごいですね!
毎回すごい記事ですね!!
確立の問題を考えるのは好きでしたが、
久しぶりに見ると、頭が追いつかない感じが・・・(笑)

#コメント、ありがとうございました!


http://say.ameblo.jp
riverplus:

■コメントありがとうです^^
どうもはじめまして。
いまのところ、確率の話題がわりと多いですが、いろんな話題に首を突っ込んでいきたいなあと思っています。

同じ社会人1年生どうし、どうぞよろしくです!