ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する」
(著:W・チャン・キム、レネ・モボルニュ、訳:有賀 裕子、出版:ランダムハウス講談社)
★★★★★
あらかじめ聞いていた評判の先入観はあったけど、それでもとても良いと思った。成功した企業の例を戦略キャンバスに重ねてブルーオーシャンの概念を説明する。紹介される企業の例が多彩かつ身近ですこしもあきさせない。
後半は経営者むきの内容のためあまりぴんとこず。
あとAmazonの書評を見てて同意したけど、レッド・オーシャン=悪、と解釈してしまうのは危険。
p.23 戦略論はレッド・オーシャンでの競争をなによりも重視してきた。というもの、企業戦略は兵法に根ざしていて、いまだに兵法の影響が色濃く残っているからだ。
戦略とは一定の限られた土地をめぐって敵と向き合うことを意味する。
p.24 その結果、新規事業の86%は製品ラインの拡張、つまり、既存の市場空間というレッド・オーシャンでの小さな改善だということが判明した。ところが、こうした取り組みの成果は全売上高の62%、全利益の39%を占めるに過ぎない。
p.25 製品やサービスのコモディティ化、価格競争、利益率の縮小などが加速してきた。
調査からは、主だった製品・サービス分野では一般にブランドごとの違いが狭まり、その結果、人々は価格を重視して購入ブランドを決めている、という事実が浮き彫りになっている。
p.27 「ビジョナリー・カンパニー」が絶賛した企業のうちの何社かは、その企業自体ではなく産業全体が好調だったために繁栄できたのである。
p.31 ブルー・オーシャンを切り開いた企業は、競合他社とのベンチマーキングを行わず、そのかわりに従来とは異なる戦略ロジックにしたがっていた。ここではそれをバリュー・イノベーションと呼ぶ。
ブルー・オーシャンを生み出せるかどうかを分けるのは、最先端のテクノロジーでも、「市場参入のタイミング」でもない、ということである。
p.37 レッド・オーシャン戦略は、業界の構造は一定で企業はその枠組みの中で競争せざるを得ない、との前提に立っている。言い換えれば、学問の世界で構造主義、環境決定論などと呼ばれる考え方をとっているのだ。ところがバリュー・イノベーションは、市場の境界も業界構造も一定ではなく、そこで活動する企業などの行動や発想しだいで変わる、との見方に基づいている。このような見方を再構築主義と呼ぶ。
p.51 買い手に提供する価値を見直して、新しい価値曲線を描くために、筆者たちは四つのアクションという手法を編み出した。
Q1:業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か
Q2:業界標準と比べて思い切り減らすべき要素は何か
Q3:業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か
Q4:業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か
p.61 優れたブルー・オーシャン戦略の価値曲線には、①メリハリ、②高い独自性、③訴求力のあるキャッチフレーズ、という三つの特徴がある。
p.74 視野を広げて考えると、企業は同業他社だけではなく、代替財や代替サービスを提供する企業とも競争しているといえる。代替財は、機能や形状は異なるが、同じ目的のために使う製品やサービスをさす。
ブルー・オーシャンを開拓するためのパス:
・代替産業に学ぶ
・業界内のほかの戦略グループから学ぶ
・買い手グループに目を向ける
・補完財や補完サービスを見渡す ← 買い手がどのようなトータル・ソリューションを求めているか
・機能志向と感性志向を切り替える
・将来を見通す
p.141 非顧客層の三つのグループ
・第1グループ:市場の縁にいるが、すぐに逃げ出すかもしれない層
・第2グループ:あえてこの市場の製品やサービスを利用しないと決めた層
満足できないか、価格が高すぎて手が出ない
・第3グループ:市場から距離のある未開拓の層
p.161 フィリップスの<CD-i>は機能の多彩さゆえに「夢のマシン」として宣伝され、ビデオ、音楽ソフト、ゲームソフト、学習用ツールなどに対応していた。ところがあまりに機能が多すぎて、一般の人々には使い方が分からなかった。
CD-iの責任者は、最前線のテクノロジーは買い手にとびきりの効用をもたらすに違いない、と錯覚してしまったのである。
p.163 効用を生み出す6つのテコ
・顧客の生産性
・シンプルさ
・利便性
・リスク
・楽しさや好ましいイメージ
・環境でのやさしさ
p.170 アイデアを形にしたとたん、知識はごく自然に他者へと流出していく。排他性の欠如によって、ただ乗りのリスクはいっそう高まる。
技術面での新たな発見に支えられているわけではない。このため、特許で守るわけにはいかず、排他性もないため、模倣されやすいという弱点がある。
(技術イノベーションはバリューイノベーションとは違う、という話が冒頭であったけど、じゃあ技術って何のためにあるの?という問いへの解答がここにあるのだと思う。)
p.198 ブルー・オーシャン戦略を実行する上での四つのハードル
①大胆な変革の必要性を従業員に理解させる上での意識のハードル
②経営資源のハードル
③従業員がやる気を損なう士気のハードル
④社内外からの変革への抵抗という政治的なハードル
p.213
ティッピング・ポイント・リーダーは、変革への取り組みを大々的に行おうとはせずに、特定の分野に集中して行うという逆の道を選ぶ。とりわけ効果の大きい三つの要素に力を入れる。「中心人物」「金魚鉢のマネジメント」「細分化」。
p.284 独占的な立場にある企業は、二つの行いを通して社会的損失を招くと考えられてきた。第一に、最大限の利益を得ようとして価格を高く設定する。すると、その製品はほしいが懐に余裕のない顧客は、排除される。第二に、競争が十分に働かないため、独占的な立場にある企業はともすれば効率向上やコスト削減を怠り、希少な資源を必要以上に消費してしまう。




